わたしが働くインドネシアの女の子の義母が先週、亡くなった。九十三歳の大往生。

彼女は、将来は日本人のだんなさんとインドネシアに住む選択肢を語っていた。

また仲の良いフィリピンの姉さんも、子供がいないのもあり、だんなさんが亡くなったら、フィリピンで和食屋さんを経営するのが夢だと言う。今は昼間、週に一回、トンカツ屋さんでバイトしている。

わたしがホステスするお店のお客さんの平均年齢は、だいたい五十五歳くらいなんで、年金の話、親の介護の話、老後の夢、息子や娘が独立してからの夫婦のあり方などが、自然と話題になることが多い。それは、わたしのこれからの人生を考えるに当たって、とても勉強になっている。

中山可穂という作家の「サイゴン・タンゴ・カフェ」という作品が、文庫になったので購入した。

単行本の時に図書館でかりて読んだが、今、再読したら、また違う味わいがあった。

文庫の表題作の作品の中に印象的な言葉に出会った。ベトナムが拠点となる真樹と穂波の恋の物語。

昔は愛し合ったが、別れた二人がまた、「第二の人生を始める」。

「真樹は四十歳、穂波は五十七歳。新しく人生をやり直すには遅すぎるが、すべてを諦めてしまうにはまだ早い。タンゴのいいところは年を取っても踊れるところだ。」と。

たぶん単行本を読んだときの若いわたしは立ち止まらなかった箇所だけど、今のわたしは何か揺さぶられる。

だから、読書は面白い。

父の還暦の誕生日に記す。

「サイゴン・タンゴ・カフェ」中山可穂 角川文庫

2010.4