人はみな
何かしらの理由で戦っている
週末の深夜
仲の良い女性から電話があった
第一声が
女性A
「女性の陰部よ！」
鈴木
「はぁ？」
女性A
「彼氏の携帯見たら他の女の陰部の写メがあったのよ！！」
鈴木
「それはまたミラクルだね」
女性A
「それも「わたしの陰部舐めて～」とかメールしてんのよ！！バカじゃないの！」
鈴木
「ははは・・・そらまたダイナミックだね・・」
女性A
「笑いごとじゃないわよ！その上○○（彼氏）は「舐めるよ～ペロペロ」ってパタリロかい！本当に気持ち悪くて吐き気がしわよ！」
鈴木
「気持ち悪いって君の彼氏だけどね」
女性A
「だから私は追求してやったのよ！誰よこの女！完璧浮気じゃないのって！」
鈴木
「ほ～で？」
女性
「したら何て言ったと思う？「その女は頭がおかしいんだよ。たまにそんな画像送ってくるから適当に対応してるだけだよ。だいたいそんな女とヤルわけねーだろ。俺を信じろよ」だって！ふざけんなって感じよ！いやふざけろって感じよ！」
鈴木
「まあ、そうなっちゃいますよね」
女性
「誰が信じるのよ！イエスじゃあるまいし！ザーメン？アホか！あいつマジで！」
鈴木
「・・・・・。そうか・・・」
女性
「あたしなんてあいつと一年もシテないのよ！つーか陰部なんてこのかた付き合って一度もペロンチョナッシングよ！！」
鈴木
「ははは・・・」
女性
「陰部陰部陰部陰部陰部ってあ～ムカつく！！！」
女性
「あ！運転手さんそこ右でお願いします！」
人はみな何かしらの理由で戦っている
そして
その戦いに敗れるものもいる
そんな人間に
我々はどんな言葉を投げかければいいのであろうか
先週
埼玉スーパーアリーナで
格闘技イベント ドリームが開催された
関係者の方に招待されたので
仕事が終了後
アリーナに向かった
アリーナ到着と同時にまさかの
試合が終了
一試合も観れずに会場を後にしようとした時
カナブンの裏に似ている彼こと奥出選手（格闘家）から着信があった
内容は
「所さんの控室に来ませんか？」
と云う
所選手は今回の試合
残念ながら敗れてしまった
そんな敗者の控室に行っても
わたしとしては何て声をかけていいかもわかならいし
関係性も薄い私と
所選手も会いたくないであろう思い
辞退することにした
その旨を奥出選手に伝えると
「そんことないんで是非！」
と云う
正直お腹が空いていたので早く会場を後にしたかったので
再度お断りすると
連れの女性が
「行ってみたい」
と言う
すかさず
「連れて行ってくれと！」
懇願し
控室に向かうと
今まさに試合を終えて敗れた所選手がいるではないか
当時最強と云われていたノゲイラ選手を
バックブローで葬り去り
その時からシンデレラボーイとして駆け上がり
ニートから童貞へ！
を標榜に
すでに一流の舞台を主戦場としている所選手
童貞顔で私生活が地味の教科書みたいなこの男は
戦う以外は全くスター性を感じさせないというか
ない
が
リングに上がり試合をすれば
たちまち観客を魅了する
勝っても
負けても
感動を与える男に様変わりにするのだ
これはまさに天性のものであろう
しかしそんな所選手も
敗れて控室にいれば只の人間となる
控室に入ると所選手がいた
彼はビジュアルは若いが私と同い年で童貞だ
私は密かに
同い年で戦い続けていることに共感を覚えそして尊敬すらしている
そんな所選手は私を視認すると
所
「ああ、どうも。」
と
とてつもなく謙虚な感じで声をかけてくれる
ぎこちない笑顔だ
それはそうだろう
試合に負けたのだ
日本で最高の舞台と云われるドリームで敗れたのだ
背負うものも
期待されるものも
重圧も
想像を遥かに超えるだろう
そんな所選手に
わたしはみたいな
痴球はデッカイファッションヘルス系ビュンビュン系は
一体なんて声をかければいいのか・・・
そんな葛藤を逡巡していると所選手は
「負けちゃいました・・」
と笑顔で投げかけてくる
胸が熱くなった
わたしは開口一番
思いのたけをぶつけた
鈴 木
「すいません。ぼく、試合で負けたことないで、負けた人の気持ちがわかりません！だから、痛いの痛いの所さんに飛んでけ～」
所選手
「今日、一番落ち込みました・・・」
頑張れ所選手！！
プライスレス