ご無沙汰です。コロナが相変わらず猛威を奮っていますね…。今後どうなるのでしょうか。非常に心配です。
今回は書籍のレビューです。歪んだ小説-共犯者の感想と私個人の解釈を交えてブログにしていきます。
まず論点を確認しましょう。この本の論点、テーマは「誤報」です。そして特に「時効」という概念にスポットを当てているように感じました。
まず主人公は相賀という老人。始まりは記者時代の仲間であった垣内が自殺したという連絡が相賀のもとにきます。
そしてタイトルの「共犯者」。記者時代、垣内に相賀は意図せずフェイク情報を提供してしまいます。そして垣内がその情報を報道することで、赤西という1人の女性が冤罪となってしまいます。
相賀は間接的に人の人生を狂わせました。これが「共犯者」の意味するところです。
まずポイント1です。情報の影響力は非常に大きい。当然誤報で人の人生は簡単に左右される。情報が持つ恐ろしさがここにあります。
垣内は相賀から提供された情報がフェイクであったことに気付きます。しかし記者としての矜持よりも汚い一時の感情を優先し、訂正記事は流しませんでした。
歳月が過ぎ、垣内と赤西は和解するも、面白いことに垣内の記者時代のテーマである「借金」を介したコミュニケーションをとることになります。
物語は、この垣内が自殺した原因を相賀が探すプロセスが中心です。その過程で自分の情報がフェイクであった事。垣内と赤西が和解していたことを知ります。
そうです。数十年立った今では2人は死んでいる。「時効」なんです。
「情報」と「金」という身近な2つのツールに宿る恐怖をあぶり出した生々しくもあり、ちょっぴり新鮮な作品でもあります。
個人的には歪んだ波紋の中でもオススメの部類なので、是非読んでみてはいかがでしょうか。