この大会は、2年に一度世界卓球連盟が主催する、40歳以上の卓球愛好家なら誰でも参加できる世界最大の卓球選手権です。昨年はイタリアのローマで開催されましたが、今回は韓国で行われるということだったので、韓国での勤務日程を調整して参加してきました。
場所は韓国の東側の観光地である江陵(カンヌン)。あまり知られていませんが、平昌オリンピックでのアイススケートやフィギアスケートの会場になった所で、もっとわかりやすくいうと、羽生結弦が2大会連続の金メダルを取り、高木美保や小平奈緒がスピードスケートでメダルを取った場所です。
その会場に世界中の卓球愛好家が集まり、1週間(6/7~6/12)かけて個人戦はもちろん、男ダブ女ダブ、そして混合ダブルスの3種目でチャンピオンを決める大会です。
今回は総勢2477名(これは大会としては少ない方で前回のローマ大会は7000人だったと)、85ケ国の人たちが集まりました。今大会で最も多くの選手が参加したのは開催国の韓国ではなくドイツ(310人)。次に地元韓国(243人)で、その次が日本(231人)でした。ちょっとビックリしたのは、ロシアやウクライナ、イランからも参加者があったことです。
そしてこの大会のユニークなところは、ダブルスのペアを誰と組んでもOKで、ペアがいない時は運営側が勝手にペアを決めてくれることです。かくいう自分も、参加申し込みをした数日後、男ダブペアのオファーメールが来て、全く身も知らず言葉もわからないフレディーというベルギーの人と組んでダブルス戦を行うことになりました。
また、今夏一緒に行った仲間の一人には運営側から、「中立国」と明記された人とのペアが当てがわれ、当日ご対面してみるとやはりロシアの人でした。
試合会場には100台以上、それとは別に練習会場に50台以上の真新しい卓球台が並ぶ光景は壮観でした。そこでアジア系はもちろん、欧米系やアフリカ系、中にはヘジャブをかぶって全身黒づくめの女性もラケットを振っていて、卓球は世界中に広がっていることが実感できます。ちなみに世界卓球連盟の加盟国数は国連の加盟国数より多く、世界最大のスポーツ連盟だそうな。
そして大会初日は個人戦。4人で戦って上位2人が決勝トーナメントに進みますが、嬉しいのは下位トーナメントがあって、残り2人もまだ試合ができることです。そしてトルコ、ハンガリー、カザフスタンの選手と試合をしました。初めての世界大会ということで、どんな凄い選手が出てくるのかと最初は緊張しましたが、いざトルコの選手と対戦してみると、まあ普通な感じで、ここは3-0で勝たせて頂きました。しかし次のハンガリーの選手はやや上手で、結局2-3での惜敗。カザフスタンは見た目からしてとても上手で、ここは素直に0-3で大敗しました。
翌日はダブルス予選。指定された卓球台に行くと、フレディーはすでに練習中。日本人だとすぐにわかったようでがっちり握手して、そのまま軽く打ち合って即試合。相手はフィンランド、アメリカ、イギリスの欧米勢。皆背が高い中で自分だけが凹んだ存在でした。フレディーのサーブはバックハンドの横切で凄い回転量ですが、それを欧米勢はバンバン打ち返してくるので、こちらも嬉しくなっての打ち合いとなりました。突っつきやカットといった小細工なしの空中戦のような試合はどれも本当に楽しくて、終わってみれば2勝1敗で決勝トーナメント進出となりました。
混合ダブルスでは、日本でもあまりペアを組んでいない女性とペアを組んで臨み、ドイツに勝ち、中国系アメリカとモンゴルに惜敗してしまって下位トーナメントに。
大会3日目は試合のない休憩日。仲間たちと市場を見学したり朝鮮時代の建物などを見て過ごしました。またその日は有料でドレスコードも指定された大人な雰囲気のディナーパーティーがありました。テーブル席には日本人が集められていて、東京や関西の人とも卓球談義ができてとても有意義で楽しいパーティーでした。
大会4日目は個人戦の下位トーナメント。相手はドイツ。特に強い印象はありませんでしたが繋いでくる卓球で、こちらもそれに合わせて繋いでいってミス。打ち急いでスマッシュするとネットに引っかかって自滅し、結局1回戦負け。相変わらずゆっくりとしたボールへの対応がへたっピーです。
大会5日目の男ダブ戦も、ドイツ相手に予選の時のような激しい打合いではなかったこともあって私もフレディーもミスが多く、結局は1回戦負け。混ダブもモンゴル相手に残念な結果となり、大会は終了しました。
後は気が付いたことをランダムに記録しておきましょう。
・大会期間中、会場周辺にはキッチンカーがいくつか並んでいて、広場にはテント付きのテーブルがずらり。試合会場の入り口には「ノーアルコール」の表示がありましたが、キッチンカーではビールが売られていました。嬉しいことでした。
・会場の受付では、予約制で弁当の販売もありました。なので期間中のお昼の心配は無用。
・問題は夜。3000人近い選手の試合なので特に予選会最後の試合は19時40分スタート。3試合して終わってみれば21時半。そこからアプリでタクシーを呼ぶのには結構時間がかかって、宿についてのは22時過ぎだった。アプリを知らない人の中には、24時頃宿についたという人もいたようです。
・大会の進行は、あらかじめスマホにアプリをインして、そこから流れてくる情報に従って会場を移動。これがなかなか優秀なアプリであったと思う。さすがIT大国韓国。
・中国の選手は素人でもとても上手できれいなフォームをしていました。韓国の選手は地元開催でもあり、全員がユニフォームを揃えての参加で賑やか。モンゴルの選手たちは試合中でも仲間どうしでしゃべりあい、その声がとても大きくて正直不愉快なくらい。欧米系の選手は相手のナイスプレイには拍手やハイタッチがあってとても明るい。ただしドイツは真面目。どの国の選手もその国柄が出ていて楽しい感じでした、モンゴル以外は。
・ペアを組んだフレディーも私と同じ65歳頃の年代で、つまりは同じ65年間を生きてきて、今回ここで卓球を通じて出会えたことになります。私のこれまでの人生もいろいろでしたが、この大会に参加した人の中には、私など比べ物にならないくらい激動の人生を過ごしてきた人もいたでしょう。ウクライナやイランの人の中には、最近家族や知人を失った人もいたかもしれません。しかしそんな困難を乗り越えて、はるばるアジアの極東まで足を運び、国も言葉も関係なく、ただひたすら卓球を楽しむこの大会は、実に貴重で素晴らしい大会だったと思います。
・2028年はトルコのカッパドキアで開催されるとのこと。行ってみたいものです。