【第二話 若さと無知を利用されて店長に】
🔗 第一話とのつながり
前回は、限界ギリギリの働き方を続けていた日々と、心が壊れていくまでの経緯を書きました。
ではそもそもなぜ、そんな働き方をしていたのか。
答えは単純。
守られる仕組みのない契約で、信じた相手に搾取されていたからだ。
📌 きっかけ
「店長をやってほしい」
そう言われて、一方的にLINEで送られてきたのが、店長用の業務委託契約書。
当時24歳の私は、契約書の意味もリスクも知らずに、チャンスだと思ってしまった。
“断る”という発想すら浮かばなかった。
「あなたならできる」「信頼してる」
そう期待してもらえることが嬉しくて、限界まで頑張った。
でも今なら分かる。
あれは、私の若さと無知を利用するための言葉だった。
🧠 店長なのに、雇われていなかった
「店長」と聞いて、あなたはどう思うだろう?
会社に雇われて、給料をもらって、社会保険に入ってる
少なくとも、会社に守られてる立場だと想像すると思う。
私もそうだった。
でも、送られたのは「雇用契約書」ではなく、
「業務委託契約書」だった。

表にすると、両者の違いがよく分かる。
(すべてのケースがこの通りとは限らない)
💸 報酬は固定、努力はタダ働き
実態はこうだった↓
・毎日9時〜17時、決まった時間と店舗に出勤
・店舗に関するあらゆる指示はオーナーから
・自由なんてなく、完全に拘束されていた
雇われていないのに、雇われているように働かされていた。
「1時間あたり〇〇〇円を元に、月〇〇時間までが固定報酬。
その時間を超えても、追加の支払いはしない」
…つまり、働けば働くほど、タダ働きになる仕組みだった。
出勤は8時間×週5日。
さらに自宅でのLINE対応、HPの編集、発注作業…。
時給換算すれば、どう考えても最低賃金を割っていた。
それなのに、体調不良や家庭の都合で休んだ場合はしっかり減額される。
報酬は上がらないのに、下がることはある
そんな理不尽な世界だった。
⸻
🧨 会社に守られない怖さ
・交通費なし
・保険なし
・労災なし
・怪我をしても、風邪をひいても自己責任
それに加え毎日「何時に来て」「これやって」と指示はバンバン飛んでくる。
自由業なんかじゃない。ただの責任だけ背負わされた歯車だった。
📄 契約書は「信頼」じゃなくて「証拠」
わからない言葉もなかったし、自分なりに理解していたつもりだった。
そこに“搾取の仕組み”が隠されていることに、気づけなかった。
「あなたならできる」「信頼してる」
そんな言葉を信じていたし、努力が報われる未来を疑わなかった。
けれどその契約書には、守られない立場がしっかり明記されていた。
できる人を演じ続けた結果、壊れてしまった。
⚡ だからこそ、契約書は必ず第三者の目で見るべき
弁護士や社労士じゃなくてもいい。
身近に頼れる人がいなければAIでもいい。
ChatGPTみたいなAIに契約内容を見せて、
「これ大丈夫?」と聞くだけでも冷静な視点で見てもらえる。
知識がないことは仕方がないけど、確認しないことは危険すぎる。
契約書はあとからそんなつもりじゃなかったと言っても通用しない。
「あの人のことは信頼してるから大丈夫。」で済ませたら、取り返しがつかないことになる。
✍️ 最後に
報酬は増えない。リスクは全部こっち。
労働基準法は適用外。
それが業務委託という名の契約。
これは、“知らない人を狙って搾取する構造”だった。
あなたには、同じ目に遭ってほしくない。
情弱を狙った仕組みにどうか騙されないでほしい。
同じような目に遭う人が、ひとりでも減ることを願って私はこの先、20話(予定)を書き続けます