【第一話 会社を辞めた日のこと】
24歳で裁判を起こすなんて、当時の私は想像もしていなかった。
あの日、私は限界だった。
働いていたのは、都内にあるマッサージ店。
雇用ではなく、「業務委託契約」という形だったけれど、数ヶ月後には2店舗の店長を任された。
店長なんだから頑張って当たり前。
そんな毎日に心がついていかなくなっていた。
自由な働き方と説明されたけれど、現実は真逆だった。
朝から晩まで店に立ち、帰宅後はLINEや事務作業。
スタッフに何かあれば休日も出勤。夜中でもオーナーからの電話。
「店長ってここまでやるものなの?」と疑問に思いながらも期待に応えたくて無理をした。
そのうち、心と体がついていかなくなった。
病院で「適応障害」と診断された時すべてが崩れ落ち、辞める決意をした。
「精神的に限界なので、今入っているシフトを終えたら辞めさせていただきたいです」
でも、返ってきた言葉は
「あなたが辞めたらスタッフはどうするんですか?辞めさせないよ」
そこで、何かがプツンと切れた。
「やっぱり今日で辞めます」
そう送ってすぐに電話がかかってきた。
「適応障害なんて言い訳だろ」
「ダサすぎる」
「お前は店長としての仕事なんて何もしてない。じゃあ、どうすればいいかわかるよな?」
何度も大声で怒鳴られ、責められ
私は無言で電話を切った。
その直後、携帯には着信の嵐。
怖くて電源を落とすと今度は店の固定電話が鳴り続けた。
嗚咽を漏らす私の姿を見て
スタッフがそっと電話のコンセントを抜いてくれた。
その後オーナーからLINEで送られてきた言葉。
「こっちが委託した業務をやってない。今月分の給料は一切払わない」
私はずっと、「自分の頑張りが足りないだけだ」と思っていた。
でも違う、これは普通じゃなかった。
いや、最初から、おかしかったのだ。
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⏭ 次回予告
第2話では、
“業務委託契約”の落とし穴について掘り下げていきます。