人間世界ではいじめが今,大きな社会問題になっていますが、我が家のニワトリ世界でも大きな問題となっています。

ニワトリを飼い始めて20年が過ぎましたが、この「いじめ問題」だけは解決できません。放し飼いでの「ニワトリ飼い」の永遠のテーマでしょう。

まず鶏は赤いものを見るとつつくという習性があるようです。

このつつくという行動がいじめにつながっていきます。

元々ニワトリには餌をつついて食べるという習性があるのですが、餌の不足があると他のニワトリの羽をつついて食べたりします。

その他に鶏小屋の通気性の悪さ、そして一番問題なのが、産まれたばかりのひよこから大切に育てた若鳥が、5か月を過ぎてようやく産卵が始まったと喜んだその時です。最初の頃の卵は、まだ小さくて産卵と同時に出血してしまうのです。

するとその血を見た他のニワトリ達が逆上します。

ニワトリ達が一斉にその血の出たお尻に向かって、するどく尖ったくちばしでつつきだすのです。

さあニワトリ達のいじめの始まりです。それはそれは凄惨な光景です。一羽の逃げ回るメスを追いかける多くのメス鳥達、こうなるとほとんどが助かりません。お尻は無残にも破られてなんと内蔵まで食べられてしまいます。これから、卵を産んで我が家を支えてくれるはずのメスがこうしていじめ殺されてしまいました。しかもその味をしめた連中は、また違うメスが出血したのを見つけると、また追いかけ回してて内臓を食べつくすまで追いかけます。今度は我が身とも知らずにです。

それを防ぐためには、いじめが発生した小屋に張り付いて、少しでも挙動不審なニワトリを見つけると、もうつつけないように、尖ったくちばしを専用の器具で焼き切ります。これでしばらくは収まりますが、だいたいは再びいじめが始まります。

いじめを早期に発見しても一度いじめられたニワトリは、またいじめられてしまうので、いじめられたニワトリ専用の小屋に移しますが、なんと今度はいじめられた同士でのいじめが始まります。それは見ていてたまりません。

弱いものは、徹底的にいじめられる、人間世界でも集団リンチ事件というのがありましたがそれを思い出してしまいました。

さすがにいじめ殺して食べてしまうということはありませんがね。

ひどい時には、なんと一日に20羽もつつきでお尻から血を流していることがありました。用事で出かけていて帰ってきたら血みどろの惨劇でその光景を見て気を失いそうになってしまったものです。

 

 ここのところ、つつきの大きな原因はニワトリの品種が大きく関わっているような気がします。最近の産卵用のニワトリは、つつきの心配のないケージ用(籠の鳥)として開発されており、餌を沢山食べないよう体が小さくて、卵を沢山産むように品種改良されていて少しの環境変化などのストレスでもイライラしてつつくらしいのです。ようするに、我々のような放し飼いには向かない品種に改良されてしまっているので、ますますつつきというニワトリのいじめは増えるばかりです。

その対策として、つつけないように、ひよこのうちに嘴を焼き切ってしまうということです。嘴を切ると固い餌を食べるのに不自由なので可哀そうということで今まではしませんでしたが、大人になってから嘴を切ることを思うとどちらがいいのか分からなくなってきます。

人間もニワトリもいじめが無くなることを願います。