肉を柔らかくする方法の一つにマリネ処理があげられます。
マリネ処理とは、酢、ブドウ酒、油、香辛料、ハーブなどを調合したものに肉などを漬け込む調理方法を指します。
マリネ処理をすると、肉の筋線維、結合組織が膨潤(ぼうじゅん)するため、調理肉の柔らかさが増すといわれています。

この理由は、pHに関係します。マリネ主要液のpHをみると
ワインビネガーpH2.5
ワインpH2.3
レモン汁pH2.8
しょう油pH4.7
酢pH3.0
※肉のpH5.5

となっており、かなり酸性を示しています。肉が酸性状態になった時、肉の軟化に関係ある2つの変化が起こります。
①保水性の向上②筋肉に内在する酸性プロテアーゼの活性化です。

①については、pH5付近で最低値を示し、それより酸性側でもアルカリ性側でも増大します。マリネ処理によって肉のpHは4前後に低下することで肉が保水性が上がり肉が柔らかくなっていた。(アルカリ性でも柔らかくなるが、一般的に人間は酸性を好む)

②では、低pHで活性化する筋肉内酸性プロテアーゼにより肉の軟化が起こります。

プロテアーゼ・・・たんぱく質あるいはペプチドに作用してペプチド結合を加水分解する酵素の総称
上記の事から、肉は酸性に傾けると柔らかくなるという事です。

ここからは、主観の話です。
昔テレビで、コーラに肉を漬けて角煮を作るみたいなことがやってました。調べてみると、コカ・コーラのpHは2.4でした。つまり、理には適っていたんですね。
ちなみに、みりんには肉を軟化させる作用が無くて、日本酒には軟化させる作用があるのはpHが低いからですね。

みりんのpH  5.0~6.0
日本酒のpH  4.0~4.5
ビールのpH  4.0~5.0
ワインのpH  2.3~3.3

参考文献 今さら聞けない肉の常識 総合調理科学事典


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