檻の中で 3
地下三階くらいだろうか
もはや アメリカへ入国できない悔しさと
LADYと子犬を悲しませる事となってしまった悲しみ
やすやすと入国できると過信していた自分への苛立ちから
俺は放心状態だった
ニコチン切れも作用に 俺は 何も考えられなくなっていた
これから自分の身に降りかかるだろう暗い未来を想像はしたが
もう 何もわからないくたっていた
地下へ降りると 空港のチケットカウンターの様なデスクがあり
そこで俺を待っていた黒人の警官2名に コカイン中毒の白人から俺は
身柄を引き渡された
人のよさそうな黒人の警官がおれに聞いてきた
何をした?
俺は 静かに経緯を話した
すると黒人の警官は
金無くなって学校行けなくなったのか そうか 俺も昔 同じような経験があった
だから警官にしかなれなかったけどな そうか 特に犯罪をした訳ではないのだろう
俺は
ただ LADYとPUPPY(子犬)が寂しがって 毎日泣いているから 金を必死にためて会いにきただけだ
と告げた
俺の履歴を確認してた別の黒人警官が このとき(俺が無実の罪で逮捕された時)はどうした と聞いてきた
その経緯も話した
(同棲していた女が 別れた後に逆恨みで俺の荷物を全て盗み 嘘の供述を警察へ通報し、逮捕され
半年間裁判をした話)
すると この警官もいい奴で
そうか ひでえ女に出会ったものだ 女には気をつけないとな、その女 日本人か?
俺は そうだと答えると
日本人の女は可愛いのに コエーな 気軽にナンパなんかできねえな
と気まずそうに はにかみながら話した
そこで俺は9時間 手錠と腰には鎖をぐるぐる巻きにされた状態で拘束された
その間も 黒人の警官は
お前のLADYがかわいそうだよな 解るよ 今頃泣いているんじゃないか
でも俺達も仕事だから お前を見ていないといけないし 何も助けてやれない すまんな、、
その気持ちだけで 大分 俺は 救われた
そして 俺を刑務所へ運ぶ 車が到着した
バンタイプのパトカー
車の後ろ側が開き 中へ入る
リムジンの様に 横向きに3Mくらいの席が 向かい合う形で二つあった
窓には鉄格子が何重にも貼ってある
バタン ドアが閉まる
鉄格子越しの窓から ニューヨークの夜のハイウェイと 優しいオレンジ色のライトが目に入ってきた
何度となく 見てきた ライト
でも 今回は 鉄格子が邪魔でよく見えない
景色が流星のように変っていく
普通は後ろ手に手錠と鎖を繫げるが 俺が犯罪者ではないこと
逃げる意思が全く無い事から 手錠をはめられた俺の手は 俺の胸の前にあった
手錠と 流れる景色を見ながら なんだか 切なくなってきた
気付くと 涙も出ていた
心の中で LADYと子犬に ごめんな と謝り続けていた
俺はいつもそうだ 俺の無計画な行動で いつも 誰かを悲しませてきた
そして その度に俺も 悲しんできた
景色が急に真っ暗になった
刑務所の地下入り口へ パトカーは到着したようだ
ガン ギーーー と 鉄のこすれる音がし パトカーは刑務所へ入っていった