明日
FRIDAY SPECIAL@水戸BUBBLE
KUBOYA君に感謝
茨城、水戸の皆
待っててくれ。
まだ肌寒い風が、薄着の自信を奪っていく
自由人な俺は 今日も おかしな時間に電車に乗った
午前10時 通勤ラッシュも終わり 社会の歯車から漏れ出した時間帯
世界は驚くほどゆっくりと、その動きを緩める
老人達は陽光を受け世界を迎合し
子供達は無意識にざわつく
おじさんなのに女の格好をしているおじさんは 憂鬱な笑みを浮かべる
俺のの向かいに座ったおじさん
50歳後半
野村監督風の顔 体系
緑色のかつら
ミニスカート
藍色のブレザー
確実におじさんの顔してるのに
確実に女装だってばれているのに
ひどく目立っているのに
俺と目が合うと
何みてるのよ的 小悪魔上目使い
ずっと 足をもじもじやっている
ミニスカートが男の本能を誘い 見たくないのに 俺にチラ見させやがる
顔はおじさんとわかっているのだが
ミニスカートのゾーンだけは 聖都のように凛としている
俺はおじさんを見ないように勤めている
が
おじさん 見られたくないといった顔しているのに そんな自分を見られて恥ずかしいが上がる的な
恍惚の表情を浮かべている
何勝手に人の前でもだえてんだ おじさん
周りの大人たちもおじさんを凝視
おじさん はあはあ言い出す
確実に 市民の視線を自分勝手に集め 興奮している
社会派のオナニストか
おじさん 今度は足を何度も組み替え始める
おじさんの微笑
黒い足の間から なんか白いのが見える
本来 女性がする最上の誘いを おじさんが目の前で繰り広げまくっている
で
おじさんと目が合う
おじさん かなり 俺を誘ってきた
人差し指を唇にあてて んーーダメ みたいな顔している
しかし、その顔はノムサンだ
いや サッチーか
どっちも同じだ
どうにかして、おじさんに、 俺は気持ちが悪い ということを伝えてやりたい
きっと それは おじさんを更なる高みへ持っていくだけだと思うが
俺は自己を主張する生き物だ
おじさんに元に戻って欲しいなんて思わない ただ、 俺の前では勘弁して欲しい
おじさん 緑の髪の毛を指先でクルクルし出した
あたし こまっちゃうなー だ
困っちゃっているのは俺だ
徐々に客も おじさんの目当ての俺を見始める
哀れみとざまあみろ が融合した生暖い視線に包まれ俺は これを書いている
やはりHIPHOPには世間は厳しいのか
すると
電車が駅に着き 母親と子供男子3人が乗ってきた
その中の一番ちいさい3歳くらいの男子が
あれ あのおじさん この前もいたよね あの女みたいなカッコのおじさん
なるほど
奴は おじさんは 相当やりこんでいらっしゃるようだ
母親は 男子に
そういうこと言っちゃダメでしょ、静かにしなさい
と
おじさんがいきなり
お母さん 心配しないで下さい 私 これは研究でしてるんです
と おじさんは胸を張りながら自分の格好を指差す
母親
はあ そうですか、すいません、、、
おじさん
いえいえ、どーも
おじさん すごく爽やかで いたって変体ではなさそうだ
いや、、、
俺には判る
本当の変体へ一般人の皮をかぶっているもの
おじさんが俺の視線を感じながら、高みへ行こうとしたあのモーメントが研究のためなら
おじさんは自分を研究しているだけだろう
俺はそれに巻き込まれたワトソン君だ
ならばと
俺はおじさんを凝視しだす
何があっても 無表情におじさんの体をじっと見る
おじさんもそれに気付きモジモジしだす
はあはあしだす
研究しだす
そして、疲れたおじさんの強引なひよこ口に上目使い
この世の全ての反対
さて
今日は何作るかな
ONE