響

深い思考とは
どう意味か
先見性
利益を生む事
まあ

なんでも いい

最近俺は良く考える
考えたいから考えるのでも考えるのが自らを救う為でもなく
ただ考える
ただ考えるだけなら考えた事にならないのか
考える意味は無い
息をするより
無意識に考える
無意識なら意識は無いが 気を失っているわけではない
思っているのでも無い ただ考える
事の成り行きを

と いつもの電車を待つホーム
四十代のカップル

男 ヒゲ ワイシャツ女 黒ロン毛チノパン

男が いきなり小声で ヒーヒーヒーヒー話し出す

女 うぜーうぜー
と一人言を言っている

たまにこれある

心の声か

なんかはっきり聞こえないが 確かに言っている

片言の言葉で話すように聞こえる

男 なんでなんでなんで

女 殺す うぜー 殺す

しかし二人は無表情に寄り添い本を読んでいる

と 今度は横のねえちゃんから
ちっちっと舌打ちが聞こえる でもねえちゃん 笑顔で携帯みてる

ギャル軍団４人
フィリピンの人が話すみたいに

むかつく むかつく 終電 終電 むかつく

帰りたくない 帰らない

皆 片言だ

でも ギャルは笑って話してる

どこだここは



終電到着

誰かが階段から転けたようだ

ガンと音が鳴る ただ みんな振り返りもしない

皆 笑顔

だが 俺には聴こえる


むかつく
嫌だ
帰らない
やりたくない
見たくない
知りたくない


片言な日本語が


なんだ これ


昔もここのホームで本読んでた女が
ずっと
なんで なんで
私が立ってるのに
なんで ありえない
と視線を本から背けずにずっと言っていた事があった

どこだ

ここは


何を俺は聴いているのか

片言で キーが高い ニョロニョロした言葉


酒すら呑まずしらふな俺


一人 耳をすます