とある16
俺が自分の目を潰そうとカッターを自分の目に当てた瞬間 体が動かなくなった
そして俺はまたあの夢の中の森にいた
やっとあの女神に会えると
最近の俺の悩みを突き止める事が出来るのだと
心底喜び勇んで夢を迎えた
しかし どうだろう
誰かを探している事に変わりはないし
心の底が不安感でいっぱいで
歩く度に何かから遠ざかっている気がする
夢にも夢なりのルールがあるのか
俺はまたいつものように森林を走りながら何かを探している
ある意味いつもと変わらぬ光景
目を潰そうとした俺は
視覚を無くす事で何か新たな感覚が俺を開き
何らかの奇跡が起こり
世界を
俺が平和に導ける気がした
しかし俺は失敗したのか
今夢の中では両目を見開き森林の霧の奥に女神を探している
すると
森の中から透き通った女性の声が俺に語りかける
目をそらしてはいけない
全ての悲しみから目を背けてはいけない
見る事につかれてはいけない
見たくないモノを見ることに絶望してはいけない
見ることで悲しみ
その悲しみを忘れはいけない
悲しむことを美しい事とおもってはいけない
悲しむことを偽ってはいけない
悲しみ事に酔ってはいけない
悲しむ事に慣れてはいけない
悲しむ事に奇跡を感じてはならない
悲しむ事で心を洗ってはいけない
悲しみがいつまでも心を苦しめるようにしなければならない
悲しむ事であきらめてはならい
悲しみが希望を救ってはならない
悲しみが立ち止まるいいわけになってはならない
森が語りかけてくる
森のざわめきが消えそうな俺の心を励ます
自分で自分につく嘘はまやかしの真実
自分の自分への評価は言い訳の真実
自分の自分への理解は自分の希望の残りかす
自分を捨て去ったとき
本当の自分が自分を冷静に見ている
今の自分をつくっているのは
今の自分の環境
本当の自分は
思い込みと他人の無知の結晶
悲しみきりなさい
死ぬほど思い悩みなさい
木々が俺に語る
生きること
それは悲しむこと
楽しさで忘れるのをやめなさい
悲しみは世界のエンジン
絶望し孤独の内に自分を見出し
他人の意味を知りなさい
あなたは
一人の
たったひとりの
赤子
森全体がきらびやかに、しかし、純粋な白色の光を放つ
森の中で
一人の少年がたっていた