陽side



「父上ぇぇぇぇぇぇぇぇえええ!!!!」


私の金切声は燃え盛る炎によってかき消される

目の前にはメラメラと輝きながらかつて過ごした家を覆う炎

そして、月に照らされて怪しく輝いている父が私に託した刀



「いやァァァァァアア」



私は自我を失い、後ろから暴れる私を抑え込む銀時の腕を引っ掻く

大小様々な傷がある彼の腕からは薄らと血が流れた


「落ち着け陽!!!」


「離してぇぇぇ!!!」



目が、頭が、胸が、燃える様に熱い

炎の前では、晋助と小太郎と村人が懸命に消火を行っている



「陽!! 俺達は先生と約束してんだ!!」



私の頭は朦朧としてきた

炎にかき消されない程の大声でこちらに呼びかける銀時の顔が歪んでくる





彼が次の言葉を発した時、私は意識を失った


最後に見えたのは、




『陽、貴方はとても優しい子よ。誰にも負けないくらい』


『侍に男も女もないのです。己の魂を突き通す。それが侍ですよ』




懐かしい、母と父の姿だった________________


















「っ?!」



昔の夢を見た

思い出したくない、真っ赤な夢


『絶望』


何度それを味わった事か・・・


私は隣でぐっすりと眠る銀時の寝巻を掴んだ



「大切な人は・・・・、もう失いたくないよ・・・ッ」


静まり返る万事屋に響いた声は、溶け込んで消えてしまいそう

雨が降る


止まない雨が降る


私の心から、眼から、雨が降る



怖い



私は、刀に触れることができない


何も護れない、ただの役立たず



「泣くな・・・・」



眠っていると思っていた銀時が私を見つめる

その瞳は、何もかもを見透かすように綺麗な紅色



「泣くな・・・・陽」


私は自然と彼の胸に沈んだ

大きな胸板でしっかりと受け止める彼は昔を振り返らないのだろうか



「もう、刀なんか持たなくていいんだ。ただ…心の底から笑っててくれればいい。それで・・・いい」



私は銀時の背中に手をまわした

そして、ぴったりと隙間1つつくらない程に抱き着く



『            』



そう呟いた声は君に届いただろうか________