現在25試合を消化したドイツのブンデスリーガ。

今季のブンデスリーガは優勝争い、CL圏争い、残留争いとそれぞれが激しく行われている。

日本では放映権の問題で中々ブンデスリーガが観られていないと思うが、日本人選手も多く、攻守が激しく入れ替わる面白いリーグなので、そのブンデスリーガの魅力をお伝えできればと思う。

そこで、今季23/24シーズンのブンデスリーガ18チームのここまで(第25節終了時)の現状について書いていきたい。ただし、自分も有識者に比べれば遥かに知識が劣るためそこはあしからず。






レヴァークーゼン

 今季のブンデスリーガを大いに賑わせている要因といえばこのチームであろう。名将シャビ・アロンソに率いられているこのチームは現在ブンデスリーガ首位、2位バイエルンと勝ち点10差つけて連勝街道を突き進んでいる。元々若手有望株を育成するのが上手なチームではあったが、今季は夏の補強でジャカ、グリマルドというベテラン選手を獲得し、シーズン開幕前から今季に賭ける意気込みが感じられていた。そして、蓋を開けてみれば現在36戦無敗(31勝5分)という圧倒的な成績でリーグ、EL、DFBポカールを勝ち続けている。

 残り9節で勝ち点10差なら優勝は安泰だろうという人もいると思うが、個人的にはそうは思わない。確かに、シーズン前半戦は無類の強さを誇っていたレヴァークーゼンであったが、後半戦に入るとボルシア・メンヘングラートバッハ戦をはじめ、ブロックを敷かれ、崩すのにかなり苦労する試合が続く。直近の第25節ヴォルフスブルク戦、第24節ケルン戦、第23節マインツ戦など、どの試合も得点に苦労していた。だが、3試合連続で相手チームが退場者を出したことにより、なんとか勝ち切る事ができている。ボニフェイスが負傷で離脱した今、ブロックを崩すにはどうしてもヴィルツに依存してしまい、出場時間が伸びていることが不安要素である。逆に、ブロックを敷いてこないある程度の強さを持ったライプツィヒやバイエルンの方が、今のレヴァークーゼンには戦いやすい印象がある。そしてなにより、2位のバイエルンが怪我人が戻ってきつつあり復調気味であることだ。これからの相手も守備を固めてくることが予想される中、少しでも勝ち点を取り損ねることがあればバイエルンが襲いかかってくるであろう。




バイエルン

 昨季に途中就任したトゥヘル率いる今季のバイエルンは途中までは順調そのものであった。確かに、シーズン前のスーパーカップでライプツィヒに敗れたことやDFBポカールで3部のザールブリュッケンに負けて敗退したことはバイエルンというクラブからすれば不本意な結果であろう。しかし、リーグでのバイエルンの強さは本物であり、特段内容は良くないがレヴァークーゼンというバグ的存在さえ考えなければ全く悪くない、むしろ良い成績だったと感じた。第21節のレヴァークーゼン前までの首位との勝ち点差は2ptであり、それまでに勝ち点を取りこぼしたと言える相手はライプツィヒやフランクフルトの刺客的な強さを考えればブレーメン戦くらいであろう。しかし、首位レヴァークーゼンとの直接対決で敗れた後のボーフム戦の敗北とフライブルク戦の引き分けで失ったポイントが大きすぎた。レヴァークーゼンとの天王山はシックスポインター以上の意味を持ってしまった。だが、それが長く続かないのもバイエルンがバイエルンたる所以かもしれない。CLでラツィオ相手に3-0、リーグではマインツ相手に8-1とすぐに調子を戻した。

 そして、現在シーズン終盤戦に突入し、続々と怪我人が帰ってくるだろう。その時に本来のバイエルンを見せ続けることができるならば、まだまだ優勝の可能性は残っている。




シュトゥットガルト

 正直に自分の考えを言うのであれば、現状では1番強いチームだと思う。昨季はギリギリで降格を免れたが、夏の市場で主将である遠藤航をリヴァプールに引き抜かれた。今季の降格予想にも少なくない人が予想したであろうチームはなんと第25節終了時で3位。DFBポカールでは敗退してしまったが、ギラシ抜きでレヴァークーゼンを追い詰めた強さはもう誰も疑うことはないだろう。ギラシとウンダフの優れた得点能力や選手を中央に多く集める戦術により攻撃に迫力がでている。そして良いチームには良いニュースが続くもので、ルオーの買取、フューリッヒやアントン、そしてへーネス監督の契約延長などチーム全体で良い雰囲気ができている。また、日本代表で叩かれがちな伊藤だがこのチームでは素晴らしい時間を過ごしており、完全な主力としてチームの躍進に貢献している。使い方を誤らなければ輝くことがわかっているため、代表で叩かれる姿を見るたびに寂しい気持ちになる。

 現状の勝ち点や調子を考えればどう考えてもCL圏内に残ってくるチームであることは間違いない。昨季降格しかけたチームとしてはもう目標を達成しているも同然である。また、シュトゥットガルトはレヴァークーゼンとバイエルンとの試合を残している事も特筆すべきだ。真っ向勝負でこの2チームに勝てるのはもはやシュトゥットガルトしか残っていない。シュトゥットガルトの勝敗が優勝争いに大きな影響を与えるであろう。




ドルトムント

 ドルトムントの印象としては、内容の割には順位が高いということだ。昨季惜しくも優勝を逃し、今季こそはと望んだドルトムントであったがベリンガムが移籍した穴は大きかった。今季はザビッツァー、ヌメチャ、ベンセバイニ、フュルクルクとブンデス内から選手を補強したが、フル回転しているザビッツァーとフュルクルクの存在は大きい。特にフュルクルクは得点だけでなく、ポストプレーなど数字に表れない貢献もある。しかし、既存の選手達がパッとしないことが今季の低調ぶりの要因であろう。戦術としてはマレン、フュルクルクを中心として得点し、コーベルで守るという形。攻撃陣はロイスの衰えやブラントの好不調の波が激しいことなどで不安定であり、守備陣はズーレやシュロッターベックがあまりパッとせず、最近ではエムレジャンの低調ぶりが際立っている。というか、今季見ていて悪くない選手の方が少ない。

 ここ最近は負けることが少なくなってはいるが、それはCL抽選の引きや日程的な問題であり、これから続くであろうフランクフルトやバイエルン、シュトゥットガルト、レヴァークーゼン、ライプツィヒ相手に勝てるビジョンはなかなか見えてこない。しかし、下位相手の取りこぼしが比較的少ないことがこのチームの良いところであるように感じる。冬の市場でサンチョ、マートセンを加えて戦力アップを図り、激戦となっているライプツィヒとのCL圏争いを制すことができるのか注目である。