観ているだけで心が痛くなってくる…
それは、ブエノスアイレスという遠い異国の街のせいなのか、それとも傷つけ合ったゲイの恋のせいなのか…
レスリー・チャン(ウィン)、トニー・レオン(ファイ)が地球の裏側で繰り広げる切ない恋。
ウォン・カーウァイの"ブエノスアイレス"は南米アルゼンチン🇦🇷ブエノスアイレスが舞台となった。
求め合い、傷つけ合う二人。それはカーウァイのいつもの世界であるにもかかわらず、どうしてこんなに心が痛くなってくるのだろう…
違いは二つ、同性愛と、広々と青い空のあるブエノスアイレスだ。
傷つけ合い、憎しみ合い、嫉妬に狂う男たちは、やがてそれぞれの旅に。ファイが仕事先で出会った青年チャンはマゼラン海峡を臨む地の果てに、ファイは香港への帰途チャンの故郷台北に、そしてはウィンはブエノスアイレスの薄汚れた街角で男に抱かれ無くした恋人を想いつづけている…
映画を観ていて、中米コスタリカ🇨🇷、深夜のファン・サンタマリア国際空港を思い出していた。
緩い空気、スペイン語の飛び交う空港、イミグレーションで問いかけられた言葉は何一つ分からなかった。
そしてやっと辿り着いたホリデイインの一室で、どうすることもできない孤独感に苛まれながらサンホセの街の灯りを見ていた。
物語の終わりにウィンのナレーションが流れる。
「…自分は違うと思っても、結局、孤独な人間は皆同じだ…」
ウォン・カーウァイの"ブエノスアイレス"、男たちの愛は狂おしく、切なく、そして孤独だった。