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恋をするには、柳腰で、二の腕なんかも幸の薄さを感じるように細っそりと長くて…
仮に相手が異性とするなら、男だって腰回りに脂肪なんか付いていては、そもそも恋愛の被写体になり得ない。
ウォン・カーウァイの"恋する惑星"は、二つのオムニバス、恋の別れと出会いを撮った1994年の香港映画だ。
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フェイ・ウォンとトニー・レオン、ブリジット・リンと金城武。撮影はクリストファー・ドイル。
九龍の重慶大厦を舞台に、トニー・レオン警官663号、金城武刑事223号、それぞれの恋の終わりと、始まるようで始まることのない新しい恋。
映像のスピード感と、流れる60年代ポップス、言葉は語尾がフワァ〜と流れていく広東語、そして舞台は勿論九龍だ。
国宝の美しさとも言われたブリジット・リンは、きつく縛ったトレンチコートにサングラス。裏切り者を射殺してピンヒールで重慶大厦を走り回る、足首の細さは正に小股の切れ上がった女だ。
フェイ・ウォンはテイクアウトのファストフード店員、小さなTシャツから覗く二の腕は細くしなやかで美しい。
セックスシーンがあるわけでも、キスシーンがあるわけでもない。通えない心と心、求めたい気持ちと気持ち、香港の夜、誰とも知れない男と女、流れる曲はママス&パパスの"夢のカリフォルニア"。
ウォン・カーウァイの流れるような恋愛映画は、"欲望の翼"や"花様年華"とは違っても、やはりお洒落で切なかった。