夏の補講のあと
君と帰り道から見た空の色
鈴掛真の歌
いつか校庭で見た夏の青い空が浮かんでくる。
靴箱に貼られた名前のシールすら
なぜかまっすぐ見られないでいた
思春期の淡い恋を思い出したり
他校の女子とデートして、心の中で思っていたこと、早く帰って一人になりたい…
好きなとき電話してきていいよって
好きになってもいいよってこと?
でもその頃はケータイ電話はなかったから
一通でだめになるかもしれなくて
送信ボタンを押せないでいる
息を詰めて画面を見ながら送信を押す、そんな覚悟も必要なかった。
ピアスとかワックスで
手に入れたのは
自由なんかじゃなかった気がする
学校、教師、母親、すべてのものから自由になりたかった。
だから僕は家を出て大学に行かなきゃならなかったのだ。
あなたにはもう会えないと気づいたら
なんだか少しほっとしたんだ
そして恋はいつも煩わしくて、僕の自由を縛るものだった。
鈴掛真の恋の歌
遠く過ぎ去ってしまった青春を、その時の痛みを、心に風が吹き抜けるように蒼く、優しく思い出させてくれる。
しかし、僕の青春と違っていたこと
それは鈴掛真の恋がどんなに辛く、どんなに絶望的だったのか、つまり同性を好きになるということは
「行き先のない恋だね」
と言われれば
そうだ そうだね そうかもしれない
一度だけ、たった一日でも
君のようになれたらいいなと思う。