{2FCAA237-5112-4ED3-B8F9-AC30EAD8FD3E}

サントリーの広告に登場する水原希子に対してヘイトな言葉が投げつけられている。
 水原はアメリカ人の父と韓国人の母を持ち、生まれはダラス、育ったところは神戸だ。ヘイトな言葉は、水原の母親が韓国人、正確に言うと在日韓国人ということに関して投げつけられている。
「本名を名乗れ」例によって韓国・朝鮮人に対する差別だ。タチが悪いのは山本一郎やフィフィが如何にも中立性を装って水原を非難していることだ。
 つくづく日本人の差別意識には反吐が出る。そして心の底から怒りを覚える。
 日本の社会は、差別される側、或いは被害を受けた側に対して完璧性を要求する。被差別者、或いは被害者は概して弱い立場にあり、今回の水原や、山口敬之によるレイプ被害者詩織さんは被害者であるにもかかわらず、「本名を名乗るべきだ」「処女だったのか?」と非難されている。
{03871CC3-A877-4EAD-9E36-F6C183722B9B}

 オランド政権下の2012年5月、フルール・ペルランがヨーロッパで初めて韓国系として入閣した。その時フルール・ペルラン41歳、パリ政治学院を経て国立行政学院を卒業し、2012年中小企業・イノベーション・デジタル担当相として初入閣、2014年には文化・通信大臣に就任している。
 さらにフルール・ペルランは欧州初の韓国系閣僚というだけではなく、ソウルの路上に捨てられていた孤児だった。1973年8月、産まれて三日後にソウル市内に捨てられたキム・ジョンスクという女の子は、拾われて孤児院に送られ、半年後にフランス人夫妻の養子となった。
 物理学者である養父は、女の子にフルールという名前を付けた。ソウルの薄汚れた道端に捨てられていた女の子に「フルール 花」という名前を付けて未来を美しく生きてほしいと思ったからだ。

 昨年の3月、フルール・ペルランは自らを捨てた国の土を再び踏んだ。仁川国際空港でメディアに囲まれたペルランは
「私はフランス人だ。
 私の家族はフランスにいる。私はフランス国籍のフランス人だ。」とキッパリと語った。
 ペルランは自身の出自を当然知っておりこう語っている。
「韓国とフランスを繋ぐ架け橋の役割ができてとても光栄だ。
 そして韓国は、私を捨てたことに対して罪悪感を覚える必要はない。」
 何と潔い言葉だろう。フルール・ペルランの自信に満ちた言葉が、彼女を育てた養父母が、誰もが才能を発揮できるフランスという社会が、そして何よりフルール・ペルランの人生が。

 ここでレイシスト供の下らない揶揄が聞こえてきそうだ。
「フランスと日本では韓国との歴史が違う…」
 そんなことを言っているのではない。
 人種、民族、国籍、性別、出自、人々が偶々手にしたものに対して差別をし、それに乗じて居丈高に非難をすることが如何に人として恥ずべきことであり醜いことであるのかということだ。
 そしてサントリーには「騒動に戸惑う」というコメントを出すのではなく、決然と差別を非難する企業としての社会的責任を果たしてほしいと思う。
{BE46951F-DA9E-4A27-9514-9D0054A635E6}