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■COP21/パリ
地球温暖化を防ぐ正念場■
「過去を思い出せないものは、同じことを繰り返すことが運命づけられている」スペインの哲学者で詩人のG・サンタヤーナの言葉です。

地球環境はこの20年で急激に変わってしまいました。地球温暖化の影響は、既に私たちの身近にあり、自然は脅威となり、災害は頻発しています。
こうした地球環境の変化の原因は、温室効果ガス(CO2)による気候変動そして温暖化です。
2012年現在、世界のCO2排出量は317億㌧、5年前から50%増加しました。世界の平均気温は過去125年間で最高を記録し、海水面は92年以降8㌢上昇しました。
気温が高くなれば陸域では干ばつとなり、海域では海水温の上昇が水蒸気を生み大雨をもたらします。こうして地球の気候は激しさを増し、自然は私たちに脅威をもたらす存在となってしまいました。

■温暖化対策の歴史
地球温暖化を世界各国で防ぐために、1992年気候変動枠組条約が採択されました。そして1997年には京都で開催されたCOP3において京都議定書を採択、2005年に発効しました。

■京都議定書
京都議定書が画期的だった理由は、CO2の主な排出源だった先進国に削減義務を課し、それを数値化した事でした。
全体で2008~12年(第一約束期間)の間に、温室効果ガスを90年比マイナス5.2%と決定しました。各国の内訳は左の通りです。

・EU マイナス8%
・米国 マイナス7%
・日本 カナダ マイナス6%
・ロシア マイナス0%

しかし議定書採択に尽力した米国(アル・ゴア副大統領)が政権交代となり一転、ブッシュ政権は経済に悪影響が及ぶとして、米国は議定書から離脱してしまいました。
京都議定書は、削減目標と共に、排出量取引・CDM(クリーン開発メカニズム)・共同実施の京都メカニズムを合意し、世界の温室効果ガス削減を前進させる大きな力となりました。
その結果5年間の約束期間で、90年比マイナス22.6%を達成し目標を大きく上回りました。
その一方で削減義務のなかった中国・インド等新興国の排出量が急増し、世界のCO2排出量は結果的に90年比プラス50%を超えてしまいました。

■ポスト京都議定書
京都議定書の第一約束期間が終わり、2013年から第二約束期間が始まりました。しかし新興国に削減義務がない事を不満として、日本・ロシアが参加を拒否し、強制力を伴った京都議定書の枠組みは崩壊してしまいました。
そして今、破滅的な気候クライシスの前に、世界には温暖化対策が何一つないのが現状です。そこで京都議定書に代わる新たな国際的枠組みが切望されているわけです。

■COP17/ダーバン合意
2011年南アフリカ共和国ダーバンで開催されたCOP17においてADP(ダーバンプラットフォーム特別作業部会)が設立され、新興国も含むすべての国が参加する準備部会が始動しました。
そしてパリのCOP21が、今後の世界の温暖化対策を左右する重要な会議となりました。

■COP21/パリ
2015年12月、パリで気候変動枠組条約・締約国会議COP21が開催されます。この会議で2020年以降、米国及び中国等を含む全ての国が参加する国際的枠組みが話し合われ、パリ議定書として結実する可能性があります。
世界は2050年CO2排出ゼロを目指しています。不可能のように思えますが、京都議定書が採択された97年にわずか800万㌔㍗だった風力発電は、14年には3億7千万㌔㍗となり原発の総発電量を超えました。またゼロだった太陽光発電は1億8千万㌔㍗となりました。今や自然エネルギーは世界で新たに作られる電源の6割以上に成長しました。
今世界は再生可能エネルギーの開発に凌ぎを削っています。原発は解決困難な放射性廃棄物を生む採算の取れない過去の技術となっています。クリーンな再生可能エネルギーが地球温暖化を防ぎ、そのテクノロジーは新たなビジネスチャンスとなっています。
もう私たちに残されている時間はありません。COP21/パリに地球の未来がかかっています。