タイに何度も仕事に来て、バンコク市内はだいたい分かるようになった。
バンコクは観光都市で、多国籍な人々で溢れている。
夜の街を歩いていると、必ず太った中年の白人が痩せた子どものようなタイ人の女を連れている。売買春、官製売春ではないらしいが、ほとんど観光の一部になっている事は確かだ。
タイ人のAGTに聞くと、日本人には日本人専用の一角があって、白人程公然とはしていないが、日本人も同じ事をしているという。
AGTの名前はAmy、有能で彼女がいなかったら仕事はこんなにも進んでいなかったと思う。
今回ゆっくり話す機会があって、売買春の話をした。
「サノサンは?」と聞かれた。
自分だけ良い人になるつもりはないが
「日本は戦争でアジアの人々を苦しめた。だからあたしは日本人として反省しているし、だからタイの女性の人格を否定するような事はできない」と言った。
英語で話しているからどこまで真意が伝わったのか分からないが、言わんとした事は伝わったと思う。
戦後70年、アジアの人々は日本の行った戦争を忘れてはいない。Amyと話していてつくづくそう思った。
過去の歴史を被害を受けた国の人々が水に流す事は良いだろう。しかし加害の側が水に流す事は決してできないと思った。