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 世界の人口が70億人を超えた。今後数十年に渡って地球上の人口は増えつづけ最終的には100億人になるという。
 世界中で異常気象がつづいている。アメリカでは竜巻、洪水、異常高温で多くの犠牲者が出ている。
 EUの金融危機が収まらない。ギリシア危機を発端にポルトガル、スペインそしてイタリアに危機は飛び火し世界恐慌の悪夢が現実味を帯びてきた。
 この三つのことは一見無関係のようで一つのことに収斂している。つまりそれは環境問題だ。
 第一の問題は人口圧力だ。19世紀までほぼ10億人を維持していた人口は、20世紀の終わりには60億人に爆発的に増加し遂に70億人となった。この人口圧力が環境負担の一番大きな原因だ。
 第二の問題はCO2濃度が過去6500万年のなかで最も高い濃度となったことだ。温室効果ガスの急激な増加が地球温暖化を招き世界中でかつて経験したことのないような自然災害を起こしている。
 そして第三の問題はグローバリゼーションの矛盾の表面化だ。経済は既に国家の枠を超越しているにもかかわらず、国民国家の財政基盤上に経済が成り立つという矛盾だ。
 人口増加と経済の拡大は温室効果ガスを急増させた。その結果この十年で気候は劇的に変化している。夏のモスクワの最高気温は観測史上初めて華氏100度を超え、オーストラリアでは歴史上かつて見ないような洪水に見舞われた。地球上いたるところで経験したことのないような自然災害が起きている。これが気候変動、地球温暖化だ。
 干ばつと洪水は地球温暖化による。気温が上がれば干ばつが起き、海水温が高くなれば水蒸気が大量に放出され洪水が起こる。少し科学を学んだら分かるごく当然のことだ。その当然なことに対して世界中の国々は何もすることなくここまできてしまった。この先ほんの十年いや五年ほどで世界は破滅的な局面を迎えるはずだ。そしてその原因は地球温暖化だ。
 経済のグローバリゼーションは国家の枠組みを既に通り越している。アメリカもEUも日本も中国も、同じ世界観を持って世界国家への道を突き進んでいる。そしてその世界観とは市場経済、つまり金だ。先進国であろうと途上国であろうと人々は豊かな生活を求めつづけている。豊かといえば聞こえはいいが、平たくいえば金そしてその具現としての物欲だ。テレビ、冷蔵庫の家電製品に始まって車や家。一汁一菜だった食卓は肉と油脂にあふれ、絶滅危惧種に指定されるマグロが回転寿司のカウンターを回っている。そしてこうした人間の欲望は先進国の人々から途上国の人々へ及ぼうとしている。
 欲望の果ての環境破壊。爆発的な人口増加による食糧需要。しかし地球にはもうすでにこうした人間の欲望を満たすだけの資源は残っていない。つまりそんな暮らしももう終わりだ。食料価格の高騰は途上国で暴動を起こし、現に中東で起きた民衆革命の発端は食料品の価格高騰に対する抗議が始まりだ。グローバリゼーションは為政者にとっては表裏なもので、利益も不満もグローバルに世界を巡る。結果としてチュニジアのジャスミン革命はエジプトに飛び火しムバラク政権は倒れ、リビアのカダフィは独裁者の哀れな最期を迎えることになった。
 何だっていつかは終わりがくる。地球環境についていえばもう解決できる時期は失してしまったのである。つまり手遅れなのだ。今後十年内に起こってくることは気候変動による破滅的な災害と食料危機だ。その結果起きることは途上国の崩壊であり、巡り回って先進国の経済破綻がやってくる。そして日本といえば震災以前ですら900兆円、GDP比200%の借金を抱え、ボケた年寄りばかりが社会を構成する国となっている。果たしてどんな未来が待っているのかは最早自明の理である。すなわち私たちの未来とは悪魔的な終末に転がり落ちていく未来なのである。

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