その時も、母はもちろんよくわからない様子で黙って座っているだけでしたが、
父も、「んだっけかなー。お金はあるはずだよ。」
と、時々口を挟むけど、この言葉からして、ほとんどわかっていませんでした。
そして、自称父に恩返しがしたいという50年前の父の教え子佐藤さんは、と言えば、
「私もびっくりだっちゃ。お金をたくさん、使いそうな買い物は、注意してたんですよ、私も。
羽根布団のセールスも、一旦、先生(←父のこと)が受けてしまったのを、わざわざ電話して、断ったんだがらー。」
と、必死に言ってました。別に誰も、佐藤さんを責めてないのに。
怪しんでもいないのに。
まるで、「お金がなくなったのは、私とは関係ないですよ。私は貰ったりしてませんよ」と、強調したい感じに思えてきてしまいました。
とにかく、何とかしなければ。
このままでは、ほんとに、引き落としの残高が毎月足りなくて、電気やガスが止められちゃう。
それどころか、父は騙されて、借金に手を出してしまいそう。
司法書士の、森さんもいたので、その件は、
まず、
①クレジットカードを解約して、持たせない。
②貯金通帳を私が預かり、お金の出し入れを監視して、注意をし続けてみる。
この2点をやってみて、様子を見る事にしました。
父には、強く、「お金はもうないのだから、今月は、もう引き落としはしないでね。
今、お財布にあるお金で生活してね」
と念を押しました。
「あぁそっかー。わかったがら。」
と、返事はしてくれたので、大丈夫かな、と、
この時は思いました。
はい、そうです。
この時は、認知症、というものを、全くわかってなかったです。
甘く見ていました。