あなたの「安心感」はどこから来るのか? | 相模原「タナココ」です

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「明日、誰かに話したい!」

そんな、心と体の健康に役立つ研究論文をわかりやすくお伝えします。

心や体の不調が気になっている人は「タナココ」までご相談ください。

 

🤱 母の「温かさ」がつくるもの

何げない幼い日の記憶。

 

膝の上で読み聞かせをしてくれた母の声
転んだときに優しく撫でてくれた手

 

そんな体験が、大人になってからの「健康」とつながっているとしたら──

 

実は、私たちが「社会のなかで自分がどれだけ守られていると感じるか」、つまり「社会的な安全感」は、母親との早期の関わりのなかで形づくられるという研究があります。

 

そしてこの「安心して生きていける」という感覚が、ストレスや病気、心のつまずきにどう関わっているかが、最近の科学で少しずつ解き明かされてきています。

 

中医学では「心身一如」という言葉があり、心の状態が体にも影響を及ぼすと古くから考えられてきました。母の愛情という「温」が、どんなふうに人の「気」「神」「体」に波及していくのか──この研究は、科学と中医学の視点が静かに重なり合うことを伝えてくれています。

 

この研究が明らかにしたこととは──

続きをみていきましょう 🫶

 

 

 

👶 母の「温かさ」は「チェック」されていた?

この研究で用いられたのは、イギリスの「ミレニアム・コホート研究」と呼ばれる大規模な追跡調査です。

 

2000〜2002年に生まれた子どもたち約1万9000人のうち、8,500人以上が対象となり、17歳になるまでの心と体の状態が記録されてきました。

 

注目すべきは、母親の「温かさ」が、子どもが3歳のときに家庭訪問した調査員によって直接「チェック」されていたという点です。

 

ポジティブな声かけ、スキンシップ、子どもとの会話など、5つの具体的な関わりが見られていたかどうかがチェックされました。

 

調査員は、「温かさ」を感じるの「関わり」が「見られなかった」数をチェックしました。

 

例えば、5つの「温かい関わり」が見られればチェックなしの「0」、5つの「温かい関わり」がまったく見られなければ全てチェックがついて「5」となり、点数が高いほど、「温かさ」が乏しかったことを意味します。

 

このように、親子の関係性を単なる思い出や自己申告に頼らず、第三者の目によって定量的に捉えていることが、この研究の確かさを支える土台となっています。

 

 

 

🏙️ 「世界は優しい」と思える心の「設計図」

子どもたちが14歳になったとき、調査では「自分は周りから守られていると感じるか」といった、社会とのつながりに関する「感覚」について尋ねられました。

 

例えば、「自分を安心で幸せに感じさせてくれる家族や友人がいるか」といった質問です。質問は、単なる「友達がいるか」ではなく、「この世界に、私は守られていると感じられるか」という「感覚」を尋ねるものです。

 

こうした「感覚」は「社会的安全スキーマ」と呼ばれています。

 

「スキーマ」とは、物事をどう捉え、どう反応するかの「心の設計図」のようなもの。この「設計図」がポジティブなほど、人との関係にも、社会への信頼にも好影響を及ぼすと考えられています。

 

この研究では、幼い頃に母親とどのように関わってきたか──「母の温かさ」が「社会の安心感という設計図」をつくり、それが心や体の健康に影響を与えていくのか──そんな「見えないつながり」をたどろうとしています。

 

 

 

📊 17歳の「こころ」と「からだ」を測る

17歳になったとき、子どもたちの健康状態は3つの側面から評価されました。

 

まずは「からだの健康状態」。これは本人が自分の体調をどれくらい良好だと感じているかを5段階で自己評価するものでした。

 

次に「こころの健康状態」。これは6つの項目からなる質問票によって測定され、落ち込みや焦り、不安といった心の状態が数値として示されるものです。

 

最後に「精神科的な問題」があるかどうか。ここでは、過去にうつ病や不安障害の診断を受けた経験、自殺を考えたこと、自傷行為(自分を傷つける行動)について尋ねられました。

 

これら3つの情報を統合して、より複雑なこころの問題を探る評価がされました。

 

思春期という不安定な時期に、こころとからだの状態を多角的にとらえることで、「子ども時代の関わり」がどう影響しているのかの輪郭を探りました。

 

 

 

🔗 つながる「温かさ」と「健康」

では、3歳のときに観察された母親の「温かさ」は、その後の健康とどう関係していたのでしょうか。

 

研究の結果、母の温かい関わりが多いほど、14歳での「社会的な安心感」は強く、17歳での「身体の健康状態」も良好である傾向が見られました。

 

特に、14歳の時点で感じていた「社会的な安心感」が、17歳の「身体の健康状態」と深く関係していたことがわかりました。

 

母の「温かさ」が「社会的な安心感」を育て、それがこころやからだの「健康」に作用する──このようなつながりが統計的に確認されています。

 

一方で、母親による「厳しさ」──たとえば叱責や体罰など──については、健康との明確な関連は見られませんでした。

 

ポジティブな関わり方の方が、ネガティブな関わりよりも、より長く深く影響する可能性を示唆しています。

 

 

 

🌱 中医学で捉える「安心感」と「健康」

中医学では、こころとからだは切り離せないものとされ、「心身一如」という考え方が古くから大切にされています。

 

母親からの「温かい関わり」が「心」に安心感をもたらすだけでなく、「気」や「血」の巡りを整え「心身」を整える──研究で得られた結果は、このような中医学の理論とも一致します。

 

母親との温かい関わりが、幼い頃に心の「基礎」をつくり、その後の健康にまで関係していく──これは現代科学と中医学が、違う言葉で同じことを語っているようにも感じられます。

 

 

 

🌟 「温かさ」が未来に残すもの

母親の「温かさ」が、10年以上先の「こころ」と「からだ」の健康にまで影響していた──この研究は、そのつながりを、丁寧なデータの積み重ねで明らかにしました。

 

印象的なのは、「社会的な安心感」がその中継地点になっているということ。

 

母との関わりが、やがて「自分は守られている」という感覚を育て、それが思春期の心身の状態にまで届いていたのです。

 

もちろん、誰もが温かな幼少期を過ごせたとは限りません。

 

でも、今この瞬間に自分が「つながり」を感じられているかどうか──そのことが、これからの自分の健康にも関わってくる──研究はそんな「今からでもできること」を示してくれています。

心が安らぐ関係の中で、自分の内側が静かに整っていく──そんな「温かさ」の「つながり」が、ひとりひとりの未来を支えていくのかもしれません。

 

 

 

🙇 お読みいただきありがとうございます 🙇

 

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