令和6年2月15日、多久市社会福祉会館で開催された、

多久市遺族会研修会に参加し、坂口康子様の講演を聴いてまいりました。

演題は、平和への願いを込めて「蟻のなみだ」です。

「蟻のなみだ」という演題は、「どういう意味?」と思いましたが、

それは、あまりにも過酷な体験談でした。

 

 坂口様のお父様は、旧満州で製糸工場経営されていましたが、

昭和20年5月に出征し、終戦を迎えソ連によりシベリアに抑留、

昭和20年8月に、お母様が病死し、6人兄妹のみが満州の地に残されました。

昭和21年には、2人の弟が亡くなり、兄妹4人で舞鶴の港に引き揚げられました。

その後、お父様のお兄様を頼って、佐賀県の小城に行かれております。

 

 1991年に4月に、当時のゴルバチョフソ連大統領が来日し、

シベリア抑留者名簿が公開され、自分のお父様の名前を見つけられました。

平成4年に、お姉様と一緒にシベリア墓参団に参加し、お父様と対面されました。

 

 令和5年に、著書「蟻のなみだ」出版

著書名の「蟻のなみだ」は、一列になって一定の方向に進むアリの姿に、

兄妹や引揚者の姿を重ねた体験談となっています。

 

 講演の内容は、父の出征から、母、弟の死、戦争で負けてソ連兵が来た事、

引き揚げ時の体験、シベリア墓参のお話に、自ら作詞し、

作曲家が曲をつけられた歌を協力者の演奏で歌われました。

 

 「無意味な戦争の記憶、シベリアの悲劇を風化させてはいけない。

今日の、この平和な世界は、78年前に戦ってくれた御霊のおかげであり、

感謝を忘れないで欲しい。」坂口様は、その思いを胸に、

「語り部活動を佐賀県遺族会と一緒に行っていきたい。」と、

言われました。