≪呼びかけ≫
本誌は,われわれ同人が科学・技術をめぐる諸問題をともに研究し,問題意識を交流・発展させる場です.われわれ同人は,科学史・技術史をはじめとする諸問題に関心を持つ若手研究者・教師・学生の,多種多様かつ持続的な研究会活動から生まれました.私たちは,本誌を共通の広場として,現代的な問題意識をとぎすましつつ,科学・技術にかかわる諸問題を歴史的・根本的に把握することをめざしています.
本誌は,個人の日頃の問題意識や新しい着想,様々な研究会の到達点や討論の紹介など,われわれの理論的・実践的活動の中で生まれた貴重な成果を文章として蓄積し,また積極的な討議を通じて,それを共通の財産にしていくために発行されます.したがって,個人や研究会による報告は,必ずしも学問的な論文や完成された論文に限定されません.むしろ読み手との討論を通じて,更に考えを進めるためのものとして,自由に,気軽に発表されるものです.
以下のような本誌の性格から,発表するにあたっては,次のように留意することが必要でしょう.
何よりもまず,みずからの考えを明確に表現すること,また建設的な討論を容易にするためにも,不鮮明な用語は避け,できる限り,わかり易い文章にすることが大切でしょう.更に,他人の説に言及する際は節度を守り,みずからの考えを明確にし,討論を前進させるものにしましょう.他方,読み手の側は,お互いの研究を発展させるために,本誌で活発に討論を行いましょう.いうまでもなく投稿内規を守り,積極的に投稿することが重要です.
≪読者の皆さんへ≫
われわれは本誌で,いわば,大声を出しながら,考え,討論をすすめていくつもりです.そして,われわれの問題は,決して同人内部の特殊なものではなく,広く社会に存在している問題と結びついていると確信しています.したがって,同人以外の読者のみなさんと,ともに考えていくことが,不可欠であると思います.
読者の皆さんが,多くの批判,意見を,とりわけ,現代社会の様々な場所での問題,関心を,反映させることによって,本誌の発展に御協力下さるよう,お願いします.
≪本誌の名“サジアトーレ”≫
Saggiatore サジアトーレと読む.正確にいえば,Il Saggiatore(イル・サジアトーレ)である.もとの意は黄金を秤量する役人をさす.
ガリレオの著書で古くから「論争のバイブル」と呼ばれた『イル・サジアトーレ』(『贋金鑑識官』または『黄金計量者』1623年)が本誌の題名となった.反ガリレオ勢力の頭目として論陣をはったグラッシ神父の著書に,ガリレオの考えを「秤量」するためと称して「天文学的哲学的天秤」が持ちだされた.ならば,その天秤の使い手がいかに偽せものであるかを鑑識しようではないか,とこんな意図をあらわしているという.
(『ガリレオ』豊田利幸訳・著 中央公論)
本誌は「真の科学」を探求する集団の共通の広場として,それにふさわしい名をつけようではないかと思案して,(不遜のそしりをまぬがれないが)ガリレオから拝借することにした.