発展場ゲイレイプ未遂事件に遭遇し、何とか無事生還できた18歳の僕は、一つ確信したことがあった。
それは、
同じゲイにも関わらず、若いゲイお兄さんは「敵」ってこと。
元々、若ゲイには一切興味はなく、ジャニ系ゲイや髭面いかにもゲイが、いちゃいちゃオラオラの絡みを見ただけで、誠に勝手ながら血の気が引いていた。
自分の事を棚に上げ、よく言うよって思われるかもしれない。
でも仕方ないじゃん!本当なんだから。
だから実はノンケなんじゃ?もしかしてゲイじゃないのかもって希望の光すら見ようとしていた。
しかし、もし仮に今回の案件の相手がサラサラヘアお兄さんではなく、白髪ダンディーなおじさんだったのなら、間違いなく喜んで時の流れに身を委ねていたことであろう。
「あーハッテン場に行ってみたい」から、
「あー白髪ダンディーなおじさんにレイプされてみたい」
打って変わって更なる欲望が芽生えた。
明らかなステップアップだ。
時間があれば高架下に通っていた暗な日々から、時間があれば電車に揺られアポロビルを目指す。
もしや、髪サラサラヘアのレイプ容疑者との再会もあり得るかもしれない。そんな恐怖に怯えながらも、トイレ近くのゲーム機を陣取り、おじさんがトイレへ向かうのを横目で追った。
しかし、悲しいかなゲームコーナーにいるおじさんなんて紳士の「し」の字すらありゃしない。
布製の巾着リュックを背負ってブツブツ独り言を呟く得体の知れないじいさんしかいない。
たまにゲイであろうお兄さんがチラチラとアイコンタクトを送ってくるのだが当然ながらこっちは完全無視。そして、その瞬間一気に覚めてしまいアポロビルを後にする。
その若ゲイがいなくなるであろう時間まで、ぶらぶらと天王寺の街を徘徊するのだ。
「あべちか」だった。