今思えばね、



小学3年生の担任先生をN先生と言ったかな。

当時、かなりのお爺ちゃんと認識していたのだが、よくよく考えればまだ60前のはず。

ヘリンボーン柄のジャケットで金八っさん的ファッションな出立ちで教壇に立っていた。



悲しいかな、このN先生、生徒からは一切人気がなく年上の人達からは、

「N先生、おもんない」とか、「すぐ怒るで、N先生」とか、「すぐどつかれんで!」なんて声が噂に上がっており、生徒からも保護者からも極めて支持が低かったように思う。




本当だった…


目立ちたがりの私は、クラスが変わった始業式初日、興味もないのに女子のスカートめくりに没頭していた。

「やめてー」

「〇〇君エッチ!」


でもね、決してエッチじゃないんだよ。見たくもないし、興味もないし、むしろ興味を持ちたいんだからね。


そして、N先生に捕まり、理由も聞かず左頬をビンタされた。

N先生「〇〇!廊下に立ってろ!」

N先生「両手バンザイせい!」

私「えっ?」

両手首を掴まれ、両腕を真上に上げさされた。

N先生「そのまま立ってろ!」

私「えっ?」


手を下ろせば何をされるかわからない。

ずっと我慢して耐えましたよ。

腕全体に血が巡らなくなり、感覚がなくなった記憶があるね。


体罰先生…




でもね、でもね、

普通なら顔も見たくない、超絶鬱陶しい大嫌いなおっさんとしてインプットされるところなのだが、僕はいつもN先生の傍にいましたね。


何故かって?


それはね、

匂い(臭い)がね、とても安心できたんだ。

一般的には加齢臭と呼ばれているようなのだが、私にはどんな綺麗なお花の香りよりも、ドルガバの香水よりも断然良かった。友人達は皆「N先生、おじいちゃん臭くない?」とか「N先生、変な臭いする」なんてほざいていたが。


定期的に体罰を振るわれるが、飴と鞭を巧みに使われ、たまに貰えるアメで僕はN先生の虜になってしまった。



きっとね、

私の匂いフェチとM素質とお爺ちゃん好きを開花させたのはN先生であろう。