結論から述べます。事業継続力強化計画の申請書には、事業活動を継続するための資金の調達手段について記載する欄(様式3(2)C欄)があり、株式会社セーフティーファースト(埼玉県さいたま市北区東大成町2-277-9 ADOビル3F、従業員6名)は、この欄に「地震保険は未加入なので今後の計画に繰り越す」と記載しました。備えの不足を伏せずにそのまま記載するという書き方を、本稿では当社の一つの事例として検討します。
なお、事業継続力強化計画は中小企業等経営強化法に基づく認定制度であり、当社は2021年10月5日に初回認定を、2024年10月8日に更新認定を受けています(認定番号 20240930関東第16号、実施期間 2024年10月〜2027年10月)。
■ C欄は何を記載する欄なのか
災害の発生後に事業を継続し、または再開するための資金の調達手段を整理して記載する欄です。検討の枠組みとしては、関東経済産業局が「リスクファイナンス判断シート」を公表しています(https://www.kanto.meti.go.jp/seisaku/chushokigyo/kyojinka/risk_finance_sheet.html )。資金の過不足の算定手順そのものは、稿を改めて扱います。
■ なぜ「未加入」とそのまま記載したのか
申請書が現状の記載を求める文書だからです。当社は作成にあたり、資金の調達手段のうち現状で手当てできているものと、できていないものを区別しました。手当て済みのものとしては休業保険への加入があり、地震に対する事業用の備えは未了であったため、C欄には「地震保険は未加入なので今後の計画に繰り越す」「事業用の地震保険の加入を検討」と記載しています。
未加入という記載は、実施期間(2024年10月〜2027年10月)の間に検討すべき課題を、申請書の中で特定する機能を持つと考えられます。事業継続力強化計画は策定をもって完結する制度ではなく、実施期間を通じた取組の遂行を前提とするため、現状を正確に記載することが、その後の取組の出発点になります。
■ 記載にあたって何に留意したのか
第一に、事実の記載にとどめることです。加入の要否や個別の保険の内容にかかわる判断は申請書の性格になじまず、本稿でも扱いません。第二に、繰り越した課題を記録から消さないことです。当社の実施状況の整理においては、事業用の地震への備えは現在も未了の項目として管理しています。
ただし本稿は従業員6名の一事例に基づくものであり、資金の調達手段の構成は事業の規模・業種・立地によって異なるため、一般化には限界があります。また本稿は申請書の記載実務を紹介するものであり、特定の保険への加入の当否について判断を示すものではありません。
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※本記事は制度の一般的な説明であり、特定の保険商品の勧誘を目的とするものではありません。個別の契約内容については、契約先の保険会社または代理店にご確認ください。