「ようこそいらっしゃいました。双頭の鷲様、ひかり様」
「やあ、クロ、元気かい?」
「おかげさまで元気にしております」
ここは上海にある黒の鷹の本宅だ。
「こんにちは。クロさん。お世話になります」
ひかりも黒の鷹とは何度も会っているので話しやすい。
「ひかり様もお元気そうで何よりです」
黒の鷹もニコリと笑う。
人好きのする笑顔を浮かべるようになったのは黒の鷹になってからだ。
先代黒の鷹から笑顔も武器になると言われ特訓された。
「黒の鷹は日本には定期的に行ってるのかい?」
「はい。日本にはアラン様やひかり様のご友人方もいらっしゃいますから定期的に情報を仕入れています」
アランは黒の鷹の言葉に頷く。
「兄貴の十和麗月会やライバル組織の脅征威連合のことも調べておいてくれよ」
「承知いたしております」
「あの! 智行兄さん、いえ、十和麗月会の本部長は元気ですか?」
ひかりの問いに黒の鷹は笑顔で答える。
「ええ、先日も取引でトシさんとはお会いしました。お元気そうでしたよ。また今度日本に行った時は一緒にお酒を飲もうと約束しました」
「えっ! 智行兄さんと飲み友達なんですか?」
「はい。トシさんとは取引以外でも個人的にお付き合いさせていただいております」
「そうなんですか」
「そのうちまた日本に行くこともあると思うがその時はよろしく頼む」
「承知いたしました」
黒の鷹は頷く。
「他に変わったことはないか?」
「そうですね。キマイラの動きが活発になってきているのが気にはなりますが今はまだ様子を見るようにと双頭の龍様からは言われています」
「キマイラか……」
アランは難しい顔をする。
「いずれはキマイラとの決着をつけないとな」
「ええ、いずれは手を打たないとでしょうね」
黒の鷹もアランの意見に同意した。
キマイラが日本に手を出すというなら黒の鷹は何が何でも阻止するつもりでいる。
今はクラウド総帥に止められているからキマイラには手を出していないに過ぎない。
その後黒の鷹と歓談した後アランとひかりは帰国するためにアメリカへと旅立った。