僕たちがいまこうやって暮らしていて、生活文化、教育など、昔からみればはるかに進化してると思いがちだけれども、果たしてそうなのかと思うことがよくあります。
この間、ふと知り得た「五個荘」という、滋賀県近江八幡にある所謂近江商人ゆかりの町へ行ってきました。
町といっても、京都に住んでる僕にとってはとっても長閑な田舎とも言える静かなところ。まわりは田園に囲まれ、水路が巡らされた町並みは焼き板塀が美しい古い町並みです。
もちろんこれは名勝として残されたものなんですが、京都みたいに人で溢れかえったりはしてなくて、生活の場としても普通に見える景色でもありました。4~5軒の家が観光用に解放されていて、明治初期のものから、古くは江戸時代後期に建てられたなんとも荘厳な家々。とてもそんな長音な時間が経ったとは見えないしっかりした佇まいをみて、初めて見たのに何故か懐かしくて嬉しかったものです。
各家々にボランティアの案内人の方がいて、わかり易い説明と共に丁重に迎えてくれます。
この地域の方だと思いますが、その笑顔といい優しい感じがまた嬉しくて、なんとも田舎へ帰郷したような感じがしました。どの家にも今の季節だからでしょうか、鯉のぼりのような大きな絵が部屋に掛けられていて、土人形と共に温かくもホッとする感じがなんとも素敵でした。
そして、どの家にも家訓ともいえる書が掲げてあり、そこに書かれている「人を愛し共に暮らし、欲を張らず慎みを持って日々感謝を忘れず」のような戒めには、本当に古の人に教えられるような清々しい気持になりました。商いにせよ、なんにせよ、人の心を顧みないでは叶うまい、という考え方を持ったひとだからこそ、こうやって財を成し、またそれを使命として人や地域に還元している。
そんな古の人の心根には本当に感心させられます。
僕が訪れたのは外村宇兵衛家といって、近江商人を代表するような豪商だそうです。また分家さんの外村繁(とのむらしげる)という作家さんの家もありました。こんな静かな五個荘というところに、志高く素晴らしい生き方をされた人がいたのだと思うと、「善く為せば成る」人が持つ精神力の素晴らしさを感じて心が豊かになったような気がしました。