読売新聞 Yahoo!ニュースより引用

車の窓に挟まれ2歳女児死亡、運転の母「後ろ見ず閉めた」…子どもの事故は後絶たず

読売新聞オンライン


(写真:読売新聞)

 21日午前10時45分頃、東京都練馬区石神井町の都道で、「子どもの首が車の窓に挟まり、抜けない」と車を運転していた母親(34)から119番があった。警視庁幹部によると、後部座席にいた女児(2)が意識不明の状態で救急搬送され、約1時間半後に死亡が確認された。母親は電動で開閉する「パワーウィンドー」を「後方を確認せずに閉めた」と話しており、警視庁が当時の状況を調べている。

【表】悲劇を避けるために…子供を車に乗せた時の電動窓対策

 捜査関係者によると、母親が赤信号で停車した際、右後部座席に1人で乗っていた女児に声をかけたが返事がなく、様子を確認したところ、女児の首が窓ガラスに挟まっているのに気付いた。他に同乗者はいなかった。

 母親は、「事故の前に運転席にある窓のスイッチを操作した。換気のため開けていた前後4か所の窓のうち、右後部座席以外を閉めたつもりだったが、後ろを確認していなかった」などと説明しているという。

 車はミニバンで、右側の後部座席にはチャイルドシートが設置されていた。母親は女児がベルトを装着していなかったと話しており、警視庁は女児がチャイルドシートか座席の上に立って窓から顔を出した際、閉まった窓に挟まれた可能性があるとみている。

 ミニバンのメーカーによると、同一車種のパワーウィンドーには、窓が閉まる時に異物が挟まると自動停止し、窓が少し開く事故防止機能がある。ただ、窓が完全に閉まる直前に異物が挟まった場合や、スイッチで窓を閉める操作を続けた時は、この機能が作動しない可能性があるという。

 現場は西武池袋線・石神井公園駅から西に約800メートルの住宅街。事故当時、現場近くで作業をしていた造園業の男性(49)は、母親が車内で「子どもが挟まれた。どうしよう」と取り乱しながら電話している様子を目撃したという。直後に救急車が到着したといい、男性は「子どもが亡くなったと聞き、本当にかわいそうだ」と話した。

事故防ぐためには

 自動車のパワーウィンドー(電動窓)に子どもが挟まれけがをする事故は後を絶たない。


(写真:読売新聞)

 高松市では昨年12月、父親が寝かしつけるため、ドライブに連れて行った同市の男児(2)が後部座席の窓に首を挟まれ、意識不明の重体となった。男児はチャイルドシートに座っていたが、発見時にはシートから離れていたという。

 2016年には新潟県上越市で、当時2歳の男児が、軽乗用車の窓に首を挟まれ、重体となる事故が発生。10年には、静岡県富士市の1歳だった女児が後部座席の窓に首を挟まれて一時重体となったほか、東京都中野区でも、当時生後11か月の女児が右手を挟まれ、小指を切断する大けがを負った。

 消費者庁と国民生活センターが管理している事故情報データバンクシステムによると、車の電動窓に首や指を挟まれるなどして負傷した事故は09年9月以降、少なくとも12件発生し、このうち7件は10歳未満の子どもだという。

 日本自動車連盟(JAF)が17年に3車種を対象に行った実験では、電動窓が閉まる時の力は車種によって差があり、中には、大根などの野菜を切断してしまうケースもあった。異物の挟み込みを感知すると窓の上昇が止まり、下降する「挟み込み防止機能」が運転席の窓にしか付いていない車種もあった。

 事故を防ぐための対策として、消費者庁は、〈1〉助手席や後部座席の窓を閉める際には「窓から離れなさい」と伝え、確認後に操作する〈2〉子どもによる誤操作を防ぐため、運転席のスイッチで窓をロックする〈3〉チャイルドシートに正しく乗せ、ベルトが緩まないようにする――などと呼びかけている。