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まだそんな関係だった頃。
あまりの辛さに別れを決意した事がある。
もちろん
僕、結婚してるんです…
と告げられた時も考えた。
その頃はまだ、連絡先も知らず
いつ来てくれるかわからない
お店だけの関係の頃。
当然、深く悲しんだし
頭を殴られたような衝撃を受けて
数日間は落ち込んだ。
放心状態に近いような凹み具合。
それでもやっぱり
お店でしか逢えない関係だったから
まー仕方ないかー
立ち直りも早かった。
連絡先を交換して、外で逢えるようになってからは
見え隠れする家庭…は、さほどなく
深く傷つくようなこともなかった。
ただ、当たり前だけど
当然のように夜になると帰宅していく。
立場はどうであれ、関係が不倫であれ
悲しいし寂しい。
彼が帰った後に深く深く考える。
今の状況と向き合う。
大人なのに、まるで門限があるかのように帰宅する。
どうしてもそれが逢うたびに付きまとう。
もちろん、まだ帰らないでとすがったことは一度もない。
頭ではちゃんとわかっていたから。
待っている人がいるという事と
彼を困らせたくなかったという事。
帰宅した後の冷たい空間が嫌いだった。
吸い殻が残る灰皿も、彼が触れたコップも
彼のにおいが残るベッドも
愛おしいけれど、大嫌いだった。
何度かそんな時間を経験して
もう耐えられなくなる。
もちろん彼の環境を考えると罪悪感だってある。
やっぱりこんなことよくない。
別れるべきだ。
そう決意した。
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