『眺めのいい部屋』 | Sae's Blog

『眺めのいい部屋』



”うっとり”という形容詞が当たるものを私の中で探すと、
かなり高い位置づけで、この映画『a room with a view』が浮かぶ。
ティーンエイジャーの純情は、ここに描かれた不可解な恋心と
夢のようなラブストーリーの虜になってしまったのだ。


まずは、この曲。
プッチーニの歌劇「Gianni Schicchi」の『私のいとしいお父さん』
http://youtu.be/ZRuYQ9KRJms

前奏が流れるだけで、映画を初めて観たあの日に戻ってしまう。

その後、ビデオを大切にしていたが、
最後の観たのがいつだったか覚えていない。
随分前。ストーリーも正直、やや曖昧な記憶になってきている。

ただ、フィレンツェの風景があまりにも美しく、
フィレンツェを「フローレンス」と呼ぶことさえ知らなかった私は、
彼の地になんともいえない憧れを感じたのを覚えている。

恋心をまだ知らなかった乙女(ヘレナ・ボダム=カーター)の
透明な白い肌とクイーンズイングリッシュがとても素敵で、
旅先で出会った奔放な男性と恋に落ち、
歯がゆいほどに自らの心を理解できない・・・などなど。

はたちになるかならないかの女子は、
すっかり心をつかまれてしまった。

イギリス映画は、心の機微がほんとうに繊細に描かれる作品が多く、
画像の美しさもあいまって、深く心に響く。
「E.M.Foreste」原作の映画、『モーリス』のヒュー・グラントは
永遠のマイ・ボーイ。(余談だが)

先日、これまでの私の歴史が詰まった
カオスとなっている棚の扉を開けたら、
この1冊が転がってきた。
ボロボロの表紙は、
いつか読めたらと思って
持ち続けているから。
もともと本を読むのにものすごく時間がかかる質だが、
英語となると、カタツムリのよう。

床に落ちた本を拾い上げ、
ページをめくってみると、
読もうと努力して調べた単語の意味が、
鉛筆で書き込まれていた。

1章の数ページで終わっているのが、私らしい。

いつか、ゆっくり時間ができたら、
この本を読んでみたい。

まずは、映画をまた観てみたいな。