かのディズニーが「ライオンキング 」を発表した時に、「ディズニーに影響を与える事ができたと言う事を亡き手塚も喜んでいるだろう」と言う虫プロ の弱腰に地団太を踏んだ人も多いかもしれませんが、今般の「ブラックジャックマガジン 」などを見るまでもなく、元々虫プロ、というか手塚治虫自身、自分の作品が他の人の作品に引かれたりパロディされる事には比較的寛容なのであろうと思っていました。
しかし浦沢直樹の「PLUTO 」の推薦文を見る限り、いかにお尻の軽い(失礼!)手塚眞さんも、さすがにアトムに関しては特別に思い入れがあったと見え、一度は企画をリジェクトした模様です。
しかし人間あきらめちゃダメですね。
浦沢直樹は一度リジェクトされた企画を、絵を描き、夜中に至るまで熱心に作品への思い入れを語りつくす事でついに手塚眞を口説き落とすことに成功しました。
ひとつだけ条件をつけられて。
「浦沢直樹の絵で、浦沢直樹の『鉄腕アトム』の世界を描くこと」
手塚眞さんのこの英断でこの本がこのクオリティで世に出ることになったとしたら、ファンとしては快哉を叫ばずにはいられません。
勿論手塚眞さんも「鉄腕アトムを再び世に送りだす責任の片棒を担ぐ」と言う強い責任感を持っていたといいます。浦沢直樹と手塚眞の責任感と作品に対する愛情は、この作品に見事に結実しています。
いい仕事と言うのはすべからくこの責任感と愛情がものをいうものかもしれません。
原案は鉄腕アトムの「史上最大のロボット」。史上最強といわれる7体のロボットとその関係者に次々と謎の破壊者が襲い掛かる。その現場は人を殺す事を最大の禁忌とするロボットにしか不可能ではないかと思われる力で破壊されている。犯人は人か、ロボットか。ロボットと人の狭間で揺れ動く感情のないはずのロボット達の人工頭脳に去来する者は…。
って訳で、まだ連載中なのですが、いやこいつは読み応えあります。
鉄腕アトムを知る人も、知らない人も是非、ご一読ください。
- 著者: 手塚 治虫
- タイトル: 鉄腕アトム (01)

