本日、レクリエーションでカルタ取りを行った際に、ふと思い出した出来事がある。

 

 

 

うちの施設では研修医を受け入れていて、利用者さんとのレクや会話など、触れ合うことを楽しんで学んでもらっているのだが、そこで毎回と言っていいほど問題が起こる。

 

 

問題というより、個人的にハラハラする出来事と言ったらいいのかわからないが……。

 

 

片方は研修医、もう片方は利用者さん。その間に職員が入りスムーズで且つ、お互いに楽しんでコミュニケーションをとっていただくというのが我々の役回りになるのだが、これがまたとても難しい。

 

 

座る位置一つにしても、怒りやすい利用者さんの側に研修医を配置することはNGだとか、耳の遠い利用者さんの側への配置もNGだとか、……正直そんなことを言ったらなんのために来ているのか、なぜそこまで気を使わなければならないのか等、言い出したらキリがないのであるが、そこはもう何も言うまい。目を瞑るしかあるまい。

 

 

言いたいことは山ほどあるが、それはそれで置いておくとして、問題は研修医の容赦ない気合の入り具合に言葉が出ない出来事が多々あったが、そのなかでも一番ハラハラしたのは利用者さんとの『カルタ取り』での出来事。

 

 

それは、たしかとある日の昼下がり(勝手な想像)。

いつものようにバラバラにカルタを広げ、さあこれから始めるぞ!と利用者さん総出で気合を入れ、職員が手札を読むと同時に伸びてきた腕は研修医の手。

 

「……!!!」

 

「取れられてしまったー!亅

 

とばかりに落ち込む利用者さんだったが、再び気合を入れて二枚目の手札を読む。

 

 

すると、伸びてきたのは別の研修医の腕であった。

 

 

「あー、またとられちゃったわ〜」

 

 

なんて利用者さんも仕方なくガッカリするも、再び手札を構え、戦闘モード。

 

 

しかし、その続きはお察しの通り、読めど読めど伸びてくるのは研修医の腕のオンパレード。

 

 

そう、彼らは『遠慮』という物を知らないのである。

 

 

もちろんすべての研修医が『そう』というわけではなく、たまたま彼らが『そうだった』だけの話ではある。

 

 

真剣に本気で楽しむなと言うわけではないが、ある程度の遠慮というものは必要なのではないのかと些か疑問に思ってしまった私はたぶんとても心が狭い人間なのだろう。

 

 

だが、あの戦意喪失し、落胆した姿の利用者さんを励ます介護士もまた、辛いのだと少しばかりでいいので気遣っていただきたいとそのときは思ってしまった。

 

 

今となっては『思い出の一つ』として記憶が蘇ると少しばかり笑ってしまうのだが、再び同じことが起きるのだけは勘弁してほしいと心の底から願ってしまったとある介護士の話でありました。