不吉なまでに完璧に美しい宮殿の庭で、
不吉なまでに完璧に美しい少女と出会う夢を見た。
少女は、わたしはあなたの妹です、と言った。
夢のなかでは、本物の妹の顔を思い出せなかったが、
それでも断じてちがうとわかった。
なにかのおまちがいでしょう、と言っておれは立ち去ろうとした。
すると少女は小さな木彫りの馬の玩具をポケットから取り出し、
これは幼いころあなたと一緒に遊んだ玩具です、と言った。
その木彫りの馬を見た瞬間なつかしさがこみあげてきた。
ああ忘れていたなぜいままで思い出さなかったのだろうと、
その馬を抱きしめた。
目が覚めてからその馬のことを考えてみたが、
過去の記憶のどこにもその馬のイメージはなかった。
昔見た映画やドラマの記憶を探してみたがそこにも馬の姿はなかった。
夢のなかにしか現れない、なつかしさがあるのを知った。