ノーベル文学賞は、2018年に、性的スキャンダルを引き起こし、
同年度の発表が中止になり、
世界中の文学ファンに大きな衝撃を与えた。
選考を行なっているアカデミー会員や、
会員の配偶者・家族に対して、
アルノー氏という人物が加えていた暴力行為の問題が、
表面化したという騒ぎであった。
18人の女性が告発しているので、
よほどひどいことが常態化していたらしい。
スウェーデンという北欧の、理性と知性に満ちた、
厳粛な空間で行われているものと、みんなが、
思い込んでいたノーベル文学賞の選考が、
そんな低俗三文小説のような雰囲気で行われていたとなると、
多くの人にショックを与えたのは当然である。
ノーベル文学賞の権威は地に落ちたと言えるかもしれない。
それどころか、他の部門のノーベル賞にも、
疑惑の目が向けられる雰囲気になったかもしれない。
しかし、その後の動きをみてみると、
アカデミー側に、いさぎよい反省の動きがあったようには、
感じられない。
もう何を信じてよいのかわからない世の中に、
なりつつあるのかもしれない。
ともかく、権威というものを、
頭から信じてはいけないという教訓だったように思う。