伊藤宏樹、石塚翔子】鹿児島県の奄美群島は25日、米軍統治下から日本に復帰して60年を迎えた. 奄美大島では、復帰運動の舞台になった小学校の校庭で記念行事があり、復帰時に島々で行われたちょうちん行列が再現された. かつて復帰を願う島民たちが集会を重ねた奄美市立名瀬小で開かれた記念行事「復帰の灯(ひ)」(市など主催)には約3千人が参加. 集会で演壇に使われた石段を中心に、小中学生がメッセージを書いた手作り灯籠(とうろう)1500個が並べられた. 戦後、日本と切り離された群島では、本土との物流が途絶えて食糧難が深刻化. 奄美大島日本復帰協議会が主導して、集団断食や署名など非暴力の復帰運動が広がった. 協議会議長を務めた故泉芳朗(ほうろう)氏(1905~59)の元秘書、楠田豊春さん(90)はあいさつで「苦しい時代を民衆の力ではねのけ、再び日本国民になった. そのプライドを持って奄美をもり立てていってほしい」と呼びかけた. 奄美群島青年団連絡協議会の保池穂好(やすいけすいこう)会長(33)は「島の人が一つになって復帰を果たした団結力に学び、戦争をしてはいけないという思いを伝えていきたい」と話した. ニューバランス atrynxymost 島出身の歌手元(はじめ)ちとせさんや中孝介さん、島唄の唄者(うたしゃ)らも参加し、先人の功績をしのぶ曲を披露した.