対人恐怖症克服法のジュークボックス -51ページ目

対人恐怖症の原因である「自意識過剰の度合い」を測る質問票

対人恐怖・社会恐怖の不安は、他人から否定的な評価をされることに対して引き起こされています。その根元にあるのは、他人の意見に対してものすごい敏感だということ。いわば考えが内向きなんですね。自意識過剰ともいえます。これは、決して悪ことばかりではありませんが、悪い方向にでると対人恐怖症になるということです。

では、他の人に比べて、自分はどれくらい他人の意見・顔色を気にする人間であるのか?これを知るためにいい方法があります。それが、WatsonとFriendが考えた質問票です。

「否定的評価への恐怖」を測る質問

それぞれの項目について、当てはまる場合は「○」、当てはまらないなら「×」を付けてください。全ての項目に答えてください。

  1. 人に馬鹿だと思われるのではないかと心配することは、ほとんどない

  2. 人がなんと思おうと、関係ないとわかっていても、自分のことを人がどう思うかが気になる

  3. 誰かが私のことを評価していることがわかると、緊張して神経過敏になる

  4. 人が私について良くない印象を持ちつつあると分かっても気にしない

  5. 人前で失敗するとひどくうろたえてしまう

  6. 自分にとって大切な人たちが私をどう思うか不安になることはほとんどない

  7. 馬鹿げたように見えないかとか、馬鹿なまねをして物笑いにならないかとよく心配する

  8. 自分のことを、他の人がみとめてくれなくてもほとんど動じない

  9. 他の人が私の欠点に気づくのではないかとしばしば心配する

  10. 他の人が自分のことを認めてくれなくても、あまり気にならない

  11. 誰かが私のことを評価していると、最悪の場合を予想しがちである

  12. どんな印象を人に与えているか、ほとんど気にしない

  13. 他の人が私を認めてくれないのではないかと思う

  14. 人に自分の欠点んを見つけられるのでないかと心配だ

  15. 他の人が私をどう思うかが、私を左右することはない

  16. 人に気に入られなくても、必ずしもうろたえたりはしない

  17. 誰かと話しているとき、その人が自分のことをどう思っているかが心配だ

  18. だれだって時には失敗をすることがあるのだから、私は失敗を気にする必要はないと思う

  19. 自分がどんな印象を与えているのかいつも気になる

  20. 自分の目上の人が私のことをどう思っているか、ひどく気になる

  21. もし誰かが私のことを評価しているとわかっても、私にはほとんど関係ない

  22. 他の人が私のことを価値がないと思うのではないかと心配だ

  23. 他の人が私のことをどう思うかはほとんど気にならない

  24. 他人が私のことをどう思っているか、気にしすぎると思うことがときどきある

  25. 間違ったことを言ったり、したりするのではないかとしばしば心配になる

  26. 他の人が私をどう思っているか気にかけないほうである

  27. たいていの場合、他の人が私に対して良い印象を持つだろうという自信がある

  28. 私にとって大切な人が、私のことを気にかけてくれないのではないかと思うことが多い

  29. 私の友達が自分をどう思っているかをあれこれ考えてしまう

  30. 目上の人が私を評価しているとわかると緊張して神経過敏になる

2,3,5,6,9,11,13,14,17,19,20,22,24,25,28,29,30の質問に対して「○」と答えた場合は1点ずつ付けてください。
また、1,4,6,7,10,12,15,16,18,21,23,26,27の質問に対して「×」と答えた場合は、1点ずつ付けてください。

その得点で、あなたが生活する中で、どの程度、他人の顔色を気にしているかがわかります。一般人口の約75%の人々は19点以下です。これよりも高い得点の場合は、他人の意見を気にし過ぎで、社会的な状況で不安を引き起こす可能性があります。

私たちはホストではない!日常で完璧は必要ない

19点以下の人は不安を感じてないわけではありません。彼らだって失敗はします。しかし、不安とうまく付き合っていけるのです。例えば、私は、今でも、他人と会話して沈黙におちいったりします。昔はそれで不安が爆発しました。今でも、不安は感じますが、「誰だって、沈黙はあるよ。俺はホストではないんだからしょうがない」、と心から思えるようになったのです。

私が克服した前と後で変わったもの。それは考え方だったのです。もちろん、それは結果です。克服のために、日記や恐怖突入等、様々な方法を使ったのですが、結果として、考え方が変わったということなのです。それが対人恐怖症克服のひとつのゴールと言えるでしょう。

不安を敵視してはいけない

対人恐怖症の症状はまるで不安の爆発ともいえるでしょう。普通の不安とは違います。不安が絡まりあい、増幅し、頭の中がパニックになり、それが身体症状に表れる。他の人はなんてことないということでも、本人は気にして、どんどん悪い考えだけが膨れ上がる。

全てが変わった1日

人間が持つ「不安」。これがなかったらどれだけ楽なのにと思うことがあります。そして、実際、本を見ても、いかに不安が良くないのか、いかに不安を克服するのか、ということが書いてあります。

私も、この不安、対人恐怖症がなかったらどれだけ、自分の人生は楽しいだろうと思った時期がありました。本当に運命を恨んだ時期もありました。私の場合は、マクドナルドでアルバイトをしていた時に、対人恐怖症を発症しました。全てが変わりました。ほんとに、たった1日で全てが変わったのです。

人と話すのが怖くなりました。特に、発症した時にいた相手と合うことを想像するだけで身体が冷たくなり、顔面がこわばってしまうのです。しかし、アルバイトをやめることはしませんでした。昔から、粘り強いことだけが強みで一旦始めたことはなかなかやめれない性格だったのです。完璧主義ともいえるでしょう。

対人恐怖症は財産であるとはっきり言える

しかし、対人恐怖症を克服した今、はっきりと言えます。対人恐怖症は財産であると!もちろん、今も、人と1対1で会うと緊張しますし、不安は強く感じます。しかし、なんとか一緒に食事することもできますし、仕事も続けています。少ないですが仲の良い友達もいて、充実した生活を送れています。

そんな私ですが、他の人に比べて、慎重に物事を深く考え、徹底的に分析をするということが評価され、中小企業で企画の仕事を任されています。社内に説明したり、プレゼンをするのはいまだに苦手ですが・・・。これは、対人恐怖症になるほど、内省し、深く考える性格だったからできたことです。社内の他の人にはできません。

食品会社なので、時々、お菓子や果物が仕事中に出てくるのですが、そんなことでも幸せを感じます。昨日、なんて出てきたのが1つ550円もする有名店のデザートを食べてしまいました。そのアイスを食べながら隣の人と何気ない会話をする。こんな何気ない場面にも幸せを感じることができるのです。

不安があったからこそ、不安が他の人よりも強かったからこそ、そして、その不安と共に生きているからこそ、今の私があり、間違いなくそれは他の人よりも優れた才能のとして、発揮されているのだと思います。

薬で不安を取り除くと自殺することもある

やたらと不安を敵視することに意味はありません。不安を敵視する余りやたらと 抗不安剤を投与しまっくった結果、不安が低下して患者さんが自殺してしまう例だってあるとのことです。薬物の投与によって確かに不安を下げることが可能なのですが、たとえば死に対する不安すら他動的に下げて仕しまい、自殺に導いてしまうこともあるのです。

そこで、不安の制御を他動的なものにしないために、自律訓練とか弛緩訓練を採用しようとの戦略が発展してきました。現在では、緊急処置として薬理療法を用いはしますが、同時に認知療法、行動療法を併用することで不安へのクライエント自身による対処の道が残されているのです。

絶対にあきらめないでください。

信念の歪みが対人恐怖を生み出す仕組み

対人関係で一番悩ましいのは「恐怖観念」であることはもはや疑う余地はないでしょう。

「俺のことを馬鹿と思ってないかな・・・」
「なんか俺の話で不快になってないかな・・・」
「周りの人が俺のことを気にしているのではないか?」

これらの考えが自動的に自分の心に湧き上がり、不安になり、顔がひきつったり、いたたまれなくなって、その場から逃げたりしてしまいます。私は昔、地元の知り合いが多い駅に近づくと、心臓の鼓動が高まり、恐怖を覚えていました。誰かに遭遇して、会話をしなければいけなくなり、また、顔面がひきつるのではないか?と心配したのです。


心理について知ることが自体が克服の第一歩

対人恐怖症・社会不安障害では、これらの恐怖に対処する必要があるわけですが、まずはこの恐怖がどのような仕組みで発生するのかを知っておくことが克服の第一歩になります。知ることは「心理教育」と呼ばれ、立派な治療なのです。恐怖発生の基本的理論。それが「ABC理論」です。

$対人恐怖症克服法のジュークボックス-ABC

まず最初に、何かの出来事(Activating event:出来事)に人は遭遇します。

たとえば、知り合いが前から歩いてきたとしましょう(Activating event:出来事)。これ自体はただの事実です。しかし、私は、これを見て「どうしよう、怖い。」という得も言われぬ恐怖が頭を駆け巡り、身体が硬直するという結果C(Consequence)がほぼ自動的生まれてしまうのです。

この結果は人によって違ってきます。他の人は「おっ、久しぶりだな。うれしいな」と違った風にほぼ自動的に考えるかもしれないからです(結果C:Consequence)。いったい何がこの違いを生み出しているのでしょうか?


隠れている信念(Belief)が結果(Consequence)を決める

それは、信念です。その人の持っている信念(Belief)が人によって異なるため、結果(Consequence)が異なるのです。信念は認知といってもよいでしょう。この場合、私の信念(Belief)は「なんとか楽しい人と思われなくてはいけない。それができないと私はダメな人間だ」となっています。しかし、他の人の信念(Belief)は「久しぶりなので、たくさん喋れて、楽しいだろう」なのです。

信念(Belief)が異なれば、結果(Consequence)も異なるのです。つまり、恐怖を克服するためには、この信念(Belief)を変えればよいのです。しかし、これはしみついているものですし、なかなか変えるのは難しい。だが、それは不可能ではありません。

この原理を使っている認知行動療法は実際に成果を収めており、成功がある程度保障されている方法論なのです。クラークの研究によれば、84%の人が何らかの改善を見せたとのこと。心理学の研究でも効果が保証されているのです。

信念(Belief)を変えれば結果(Consequence)も変わるので、恐怖を克服できる

認知行動療法の中でも様々な手法があります。しかし、どの方法であろうが、最も重要な点は「信念を変えれば、結果も変わる」ということ。人によって、適したやり方、効果がでやすいやり方があるでしょう。具体的には、

  • 行動をすることによって、信念を変える

  • イメージすることによって、信念を変える

  • 薬を使い、信念を変えていく

です。薬は一時的にはいいのかも知れませんが、やはり、自分で自分をコントロールしている感覚が少ないため、再発が多くなる気がします。一番いいのは、行動とイメージによって、信念(Belief)を変えていくことでしょう。

「決意を新たにする」は無意味

人間の習慣というのは、自然に身についてきたもの。変えようと思って簡単に変えれるものではありません。対人恐怖症なんてまさにそうです。小さい頃からの自分の考え方、他人に対する評価への恐れ、自分に対する評価の低さ、これらはまさに考え方の習慣が積み重なったものといえるでしょう。


決意ではなく、時間配分を変える

これら誤った習慣を変えるにはどうすればいいのでしょうか?ソニーや松下などたくさんの有名企業を変えてきた有名なコンサルタントである大前研一さんは次のように言っています。

人間が変わる方法は3つしかない。

  1. 時間配分を変える

  2. 住む場所を変える

  3. つきあう人を変える

最も無意味なのは「決意を新たにする」ことだ。


2、3番目はまあ、いいとして、一番重要なのが、1番目です。俺は変わるぞ!と決意するだけではダメなのです。実際に、変えるという事に何時間使おうという予定なのか?2時間なのか?3時間なのか?1日というのは24時間しかありません。人生も有限です。その中で数字でいうと何時間使うのか。ここまで決めて行動に移すことこそが大切なのです。

1日は6時間しかない。克服のために何時間使うか?

もし、仕事をしている人だとしましょう。1日は24時間。睡眠時間は8時間。すると、1日の時間というのは24-8=16時間です。仕事を8時間行うとすると、自分の自由になる時間は16-8=8時間なのです。お風呂、食事などで1日2時間程度は使うでしょうから、残りは6時間。

つまり、1日は24時間ではない。自由になる時間は6時間しかないのです。この6時間をマンガを読むことに使うのか、テレビを見ることに使うのか。そういう話になるはずです。決意を新たにするだけではなく、対人恐怖症のために、1日2時間を使う。具体的には、これこれのことを行う。ここまで決めて、実行することで、初めて長い間染み付いた習慣を変えることができるのです。

対人恐怖の悩みを克服するには「信念」を変える必要がある

私達はいろんなことに悩みます。しかし、悩む原因は人によって違うでしょう。同じ出来事が起こったにも関わらず、喜ぶ人もいれば、悲しむ人もいます。例えば、3人がバス停で待っていたとします。そして、バスが近づいてくる。しかし、運転手は気づかずにそのまま通り過ぎてしまいました。

1人目は、飛び跳ねながらこぶしを高く振り上げて叫び、起こっているように見えます。2人目は突然泣き出し、落ち込んでいるようです。3人目は、心底から笑い出して喜んでいるようです。同じことが起こったのに、3人の反応は異なるのです。これから分かるように、感情の原因は出来事ではなく、何を考えていたかなのです。

1人目は、「ちくしょー、会議に遅れてしまう!」と思っていました。だから、怒ったのです。2人目は、朝から少し憂鬱に感じていました。だから、「今日は何事もうまくいかない日なんだな」と捉えて、悲しくなったのです。3人目は、授業に出たくなかったのです。だから、「やったー、これで遅刻の言い訳ができるぞ!コーヒーでも飲もう!」と喜んだのです


対人恐怖を克服する際に覚えておかなければならない最も大切な原理

対人恐怖症も同じことなのです。上の例から、対人恐怖を克服するために覚えておかなければならない原理が分かるでしょう。つまり、
人の悩みは出来事そのものではなく出来事の受け取り方によって生み出される

出来事の受け取り方というのは人によって違います。それは、その人が経験した過去の状況、その人の感受性、対人関係の捉え方や世界観、人格など様々な影響を経て、作り上げられてきたものなのです。もちろん、誰しもが不快になるような出来事もあるでしょう。


対人恐怖の原因は信念のゆがみ。その歪みは必ず修正できる

しかし、日常で、極度に強い恐怖、不安、抑うつ、無価値感、劣等感、怒りを感じるような出来事にはそれほど出逢わないはずです。もし、そう感じるならば、自分の背後にある「考え方」「捉え方」「信念」に何か問題があると考えたほうがよいでしょう。

そして、それは、意識するものではなく、長い間の習慣で自然に身についてしまっているもの。対人恐怖症(社会不安障害)を克服するならば、この「考え方」「捉え方」「信念」を変えていく必要あります。しかし、それは簡単なことではありません。長い人生の中で身に着けたものですので。しかし、逆に、それは、長い間時間をかければ、確実に変えることができるものなのです。それには、多くの練習が必要です。