対人恐怖症克服法のジュークボックス -53ページ目
<< 前のページへ最新 | 49 | 50 | 51 | 52 | 53

対人恐怖症の2大治療方法

対人恐怖症というのは非常にやっかいな治りにくい病です。平均13歳で発症し、その後、何年も苦しむというのが通常とのこと。実際、私は大学1年生頃にかかり、5年以上も苦しみました。また、知識も少なかったため、病院にもいきませんでした。多くの人は病院に行かず、何も対処を行っていないのが普通ではないでしょうか?

しかし、実は治療法というのがちゃんと存在しているのです。もちろん、必ず治るというわけではありません。ですが、自分でもがき苦しむよりも、専門的な治療法を試してみると言うのは苦しみを減らすことにつながります。

対人恐怖の2大治療法

大きく言って、今ある治療法は2つしかありません。

  1. 薬物療法

  2. 心理療法(精神療法)


1.薬物療法について


文字通り薬を使います。具体的には、効き方に応じて、3種類あります。

  • ベータ遮断薬

  • 抗不安薬(精神安定剤)

  • SSRI

ベータ遮断薬というのは「身体の症状」を抑えるもので、交感神経の働きを抑制する働きがあります。動機を抑えたり、血圧を下げたりするのです。これ自体が社会不安障害を治すわけではなく、症状を抑えるために服用するという感じです。すぐさまに効果が現れるフットブレーキのようなものですね。

抗不安薬というのは、過剰な「不安を軽くする」ものです。不安感を和らげるもので、これはベータ遮断薬の次に即効性が高いもの。定期的に使うこともありますが、必要な時だけ使うという方法もあります。昔、精神安定剤と呼ばれていたものです。

SSRIというのは「行動パターンを変える」ために使い、対人恐怖症の薬物療法の基本となるものです。効き目が出るまでには時間がかかります。効果は2,3日で現れることもありますし、3,4週間かけて徐々に出てくることもあります。

私は幸い薬は使わずに治りました。ですが、知っていたならすぐにでも使ったと思います。ただ、病院に行くのは少し抵抗があったと思いますが。ただし、服用を停止すれば、再発の危険性が高くなります。なので、私はあまり好きではありません。薬がなければ、常に危険にさらされているという思いがつきまとうからです。

2.心理療法(精神療法)について

薬を使わず、自分の心を治療していきます。幾つかありますが、代表的なものは、

  • 精神分析

  • 森田療法

  • 認知行動療法

などでしょう。

簡単にいうと、なぜ不安・恐怖を感じるのかを知り、怖い状況に立ち向かいながら、不安をコントロールしていこうという方法です。私は、主にこちらの方法で治しました。もともと、薬に頼らず自力で治したいという気持ちがあったので、自分にも向いていたと思います。

日本では森田療法が有名ですが、世界的に一番有名なのは、認知行動療法ではないでしょうか。一言で認知行動療法といっても、中身はいろいろあります。例えば、

  • エクスポージャー法

  • 認知修正法

  • ソーシャルスキルトレーニング(SST)

  • 集団認知行動療法

などです。心理療法は、治療後も改善された状態が維持されるという利点があります。しかし、残念ながら、集団認知行動療法やエクスポージャーで治癒する人は50%に満たないそうです

昔の自分ならどうしていたか?

対人恐怖というのは勝手に治るということもあるという話を時々聞きます。しかし、はっきりとした治療を受けて、苦しみを少しでも早く克服し、良い人生をおくる方が結局は近道だと思います。昔の私が今と同じ知識を持っていたなら、すぐにでも薬物療法と認知行動療法を両方受けていたでしょう。

ただし、薬は病院に行かないともらえませんし、お金もかかります。なので、昔の自分ならば、まず、本屋に行き、認知行動療法の本を買って、まずは、自分でやれる方法を試していただろうと思います。

日記をつけるのがものすごい役に立った

当時も認知行動療法の本は数冊ありましたが、私は主に森田療法の本を読み込み、普段から実践しました。それに、エクスポージャーを見よう見まねで実行し、その記録をノートに付けていました。それをしつこくやっていくうちに次第に治すということを忘れるという感覚になっていき、次第にとらわれを意識しなくなっていったという感じです。

意識を外側に向けることが対人恐怖症克服のポイント

対人恐怖症にかかる人はどのような人が多いのでしょうか?

私は、内気で自分のことを深く考えてしまうようなタイプでした。もちろん、全員がそうなのでなく、明るい人でも、授業中に指されて、答えることができなかったのがきっかけで、対人恐怖症になる人もいます。ただ、もともと自分がどんなタイプであるにせよ、対人恐怖症を克服する際に、最大のポイントがあります。

対人恐怖症の最大のポイントは自分の意識が内側に向くこと

それは、意識が自分の内側に向いてしまうことです。例えば、相手がこちらを見ているという視線があるとします。すると、まず、見ているのが気になるのです。すると、自分がどう思われているのか?などを自動的に考えてしまいます。すると、なぜだか、まずい、不安だ、といった気持ちがこれも自動的に出てきて、どきどきしたり、顔がひきつるのです。私は頑張ってもこれを止めることができませんでした。

すると、さらにその自分をどうにかしないといけないと考え、空回りします。これがどんどん続いていき、いわゆる「とらわれ状態」になるのです。これは自動的なだけに苦しかった!!!これは、結局、意識が外ではなく、自分自身に向いているということだったと思います。


意識が外側に向くようになれば治る

逆に言うと、何らかの訓練で、意識を外側に向けるようにできれば、対人恐怖症は治るということ。いかに、意識をコントロールするかが鍵なのです。根拠はあるのでしょうか?本当に意識が内側向くことがポイントなのか?対人恐怖症でない人でも、意識は内側に向くのではないか?本当にそれがポイントなのか?

根拠はあります。


対人恐怖症でない人は不安な状況になると外側への意識が強くなる

実際、2003年、これを心理学者が証明しています。不安を感じやすい状況(実験ではスピーチ)を用意し、そこに対人恐怖症の傾向がある人とそうでない人に来てもらいました。そこで、この人の意識がどちらに向かうのかを比べたのです。

$対人恐怖症克服法のジュークボックス-aaaその結果が右の図です。

左半分の棒グラフは「不安がない状況」
右半分の棒グラフは「不安がある状況」

オレンジは対人恐怖症気味の人
青はそうではない人


                          Mansell, Clark & Ehlers (2003) Behav. Res. Ther., 41,555-572

青を見ると分かるように、左よりも右が高くなってます。つまり、対人恐怖症ではない人は、不安な状況になると、意識がより外側に向くのです。逆に、オレンジを見てみます。なんと、左よりも右が低くなってます。対人恐怖症の人は不安な状況になると、意識が内側を向くのです。

このようにはっきりとした結果が出るのです。対人恐怖症の1つの原因が明らかに「意識が内側を向く傾向」であり、それを治すことは克服の大きなポイントであるのです。


今だから分かる「とらわれ」の意味

これは森田療法でいうところの「とらわれ」ですね。私もはっきり分かります。実際に、今、対人恐怖症を克服したわけですが、たしかに、昔は意識がとらわれてしまい、思考がぐるぐると廻っていました。しかし、今は、少し不安な状態でも、そのまま、不安を受け入れ、不必要に内側思考にならないのです。不安は不安のままで、そのままにしておく状態です。

まあ、対人恐怖症は、いくら頭で考えても、「自動的に」思考が内側に入ってしまうのがたちが悪いのですが。ただ、克服した今、この自動的な内側思考が最大のポイントであるということははっきりとわかります。

対人恐怖症になった瞬間とは?

私は大学1年生の時に対人恐怖症(社会不安障害とも言う)にかかりました。

それから地獄は始まったのです。まるで、この世界の一切の苦しみを背負ったかのように。今でも、はっきりと対人恐怖症になったきっかけを思い出せます。あの日から全てが変わったのです。
         神は死んだ・・・             フリードリッヒ・ニーチェ  

この言葉がぴたりと当てはまります。頼るべき今までの自己が消えたのです。

受験一筋の学生時代・・・そして浪人

私は大学に入るまで受験一筋で人としゃべるのが苦手な人間でした。受験一筋で頑張ったにも関わらず、受験は失敗し浪人したのですが、その1年は死に物狂いで勉強したのです。テレビも見ず、食事と風呂以外は全て勉強という状況。予備校に通う電車の中でも参考書を開いて英文を口の中で発音したものです。そうして世間でも一流大学といわれている大学に入りました。

大学に入り人生は変わったか?

苦労して入った大学。少しは遊びたい、と思うのは当然です。しかし、もともと人と話せない性格の上、高校の頃人と話す訓練もあまりしてません。大学に入り、いきなり楽しくなるハズが無いのです。

そして、自分を変えようとマクドナルドでバイトをしようと決心。(その前に何個か面接落ちましたが・・・)最初の3ヶ月は誰とも話せません。しかし、さすがに3ヶ月もたつとポツポツと話せるようになり、少しだけ仲が良い友達ができたのです。

中途半端に仲が良い友達がいました。よく話すようになり、少しづつバイトが楽しくなってきた時でした。

レストランで対人恐怖症を発症

ある日、そのバイトで仲良くなった友達と帰りにファミレスに行こうかということになりました。夜遅くなってしまい、ふたりとも食べてなかったのでジョナサンで夜を食べようということになったのです。

ジョナサンに入り、注文を終え、何気なく会話をはじめようと周りを見渡した時です。話すことがなく、急に気まずく感じたのです。すると、居ても立ってもいられなくなってしまたのです。ワケの分からない恐怖が襲ってきました。

自分でもなんだこれは?という感じです。顔面が引きつり、相手が何か面白いことを言っても、どうにかしないといけないという恐怖だけが襲ってきて、ひきつってしまうのです。

不自然な行動を辞めれない

すると、次は相手の目を見れなくなってしまいました。相手も、明らかに様子がおかしいと気づいているようなのですが、こちらはどうしても目を合わせることができません。目をあわせずしゃべり、無理に引きつり笑いをして見せるのが精一杯です。

早く外に出たい!それしか考えれませんでした。食事なんか何を食べたかなんて覚えていません。味も覚えていません。なんとか、食事が終わり、会計を済ませ、外に出ました。歩いていると横並びなので、相手と目をあわせなくてすみます。少し楽になった気持ちです。

数十分前までは普通にしゃべっていた人間なのに。。バイト中は普通会話しているのに・・・一体どうしてしまったのだろう。まさにパニック状態でした。何が起こったのか分かりませんでした。

ここから私の地獄が始まったのです。

84%の対人恐怖症患者を治した認知療法

なぜ自分がこんな目に・・・

大学1年生の時、レストランで対人恐怖症を発症しました。人としゃべると顔がひきつり、目を合わせられない。絶望するも、認知療法の本に出会い、5年かけて実践し、自力で克服しました。その元になったのが「認知療法」です。

その後、IT企業に就職し、彼女もでき、結婚に至りました。克服した今だからこそ、昔を振り返って分かることがあります。

このブログでは私自身の体験と近年の心理学研究で実証済みの方法を教えます。具体的には、認知療法を中心とし、行動療法や森田療法、対人恐怖症の基礎知識など、対人恐怖症を克服する際に実際に私が学び、実践した、方法です。対人恐怖症は治すことができる病気です。
<< 前のページへ最新 | 49 | 50 | 51 | 52 | 53