目標設定のコツを抑えて対人恐怖症を3倍速で克服 | 対人恐怖症克服法のジュークボックス

目標設定のコツを抑えて対人恐怖症を3倍速で克服

対人恐怖症はただ空想しているだけでは治ることはありません。克服には行動を起こす必要があります。具体的には恐怖に突入して、頭、身体ともに恐怖を解除していくという恐怖突入・エクスポージャーは避けては通れない道でしょう。

そのためには目標をきちんと設定することが必要です。しかし、この目標設定という言葉、何が正しいのかよくわからないことも多いでしょう。そこで、今回は対人恐怖症を克服する行動を起こすための「目標の設定の仕方」、「目標達成計画のコツ」について書いてみたいと思います。


ポジティブシンキングは間違い???

よく本屋さんで売っている目標設定の本を見ると「目標設定のためには、ポジティブに考えることが大切」と書いてあります。これは一部は正しいですが、一部は正しくありません。例えば、対人恐怖症克服という目標についてポジティブに考える時、その方法は2つあります。

  1. 「目標を達成できる可能性」についてポジティブ

  2. 「ハードルを乗り越えること」についてポジティブ

1つ目はたとえば、「私は対人恐怖症をきっと克服できる。いつか普通通りの生活が送れるようになるはずだ」、などです。2つ目は、「私はどんな恐怖に直面しても逃げてしまうことはないだろう。恐怖突入など簡単にできるずだ」などですね。

この2つは別ものです。目標を達成することについてはポジティブに考えてもいいです。しかし、起こりうるハードルについてはポジティブに考えるのではなく、慎重に考えて、対応策を用意したほうが目標を達成できる可能性は間違いなく高まるでしょう。


対人恐怖症治療時の困難を乗り越える2つの視点


ただし、楽観的になるといっても、なかなかうまくいかない場合もあるでしょう。私も、落ち込みが激しく、もう克服できなくていいや、もう何やってもだめだなと思うこともありました。また、あまりの恐怖に現実から逃げだしたこともありました。

そんな時はどうすればいいのでしょうか。コツは2つあります。

  1. モチベーションが下がったら「なぜ」を考える

  2. 難しく不慣れな行動をするときは「何」を考える


1.モチベーションが下がったら「なぜ」を考える

対人恐怖症の治療は長い旅路です。年単位と考えたほうがよいでしょう。その過程では、必ずモチベーションが下がる時がやってきます。そんな時は「あの自然に会話ができる楽しい生活ができるようになる!」など、治療に取り組む理由を思い出すようにしましょう。


2.難しく不慣れな行動をするときは「何」を考える

特に、恐怖突入などの訓練は実際にその場になると恐怖のあまり逃げ出そうとしてしまいます。実際私も何度も途中であきらめたことがあります。しかし、その恐怖についてあらかじめ考え、恐怖を感じた時は「死ぬわけではないと考え、まずは5分だけ我慢してみよう」と準備しました。これによって明らかに逃げることが少なりました。

まとめると、目標を立てる時に重要なのは、「まず達成によって得られるものを想像し、次に進路を阻む障害物のことをよく考える。モチベーションが下がったら「なぜ」を、困難が現れたら「何」を意識せよ」ということなのです。


対人恐怖症克服計画を立てる際の5つのポイント

これまでは、どんな目標をどんな視点で設定するのがいいかを説明しました。良い目標を立てた次のステップは、どういう計画を立てるといいのか?です。目標は素晴らしくても、途中であきらめてしまうことはよくあることです。目標をあきらめてしまうのは、「行動」の機会を逃してしまうからです。

逆に言えば、成功のカギは、機会を逃さない方法を学ぶことです。そのためには5つのポイントを意識すると役に立ちます。


1.計画を作る

目標達成における様々な問題はシンプルで練られた計画を作ることで解決できます。きちんとした計画は「行動機会を逃さず」「障害物を避け」「不安や自信喪失に対処し「」問題に直面しても粘り強く努力する」ことができるようになります。目標をたてて終わりではなく、きちんとした実行計画を立てることが重要です。


2.「何」をするかを決める

まずは、具体的な行動を決めます。「人に慣れる」などではなく、「10人に道を聞く」「毎日3人に挨拶をする」など明確な行動を決めます。そのように決めれば、何をすべきか、その行動を実際に取ったかどうかがはっきりとわかります。


3.「時間」と「場所」を決める

次に、その行動を「いつ」「どこで」行うかを決めます。これもできるだけ具体的なものにします。時間と場所をはっきりと決めることにより、他のことに気を取られても、無意識に状況を察知して、自動的に行動を開始できるようになります。


4.条件型計画を作成する

「何」「時間」「場所」を、「~の時は、~をする」や「もし~であれば、~をする」といった条件型計画として、文章にまとめます。たとえば「毎週、月、水、金は夕方に10人に道を聞く」という形です。この計画は紙やノートに書き出し、できれば何回か繰り返し音読して、頭によく覚えこませるようにします(2,3回でも十分な効果があります)


5.障害物を明らかにする

目標達成の途中でどんな障害が起こるかはっきりさせます。そして、それらに対抗するために条件型計画を作ります。(同僚に飲みに誘われたら、「申し訳ないけど勉強で忙しいので、また今度で」と返事をするなど)。これによって問題が起こったときに、前もって決めておいた方法を取りやすくなります。


恐怖突入の恐怖に何度も逃げ出してしまった私

私の対人恐怖克服の大きな壁は恐怖突入の際に恐怖が大きすぎて逃げてしまうということでした。なんとかしたいという「なぜ」は強いのですが、やるべき「何」が恐怖のあまり実行できなかったのです。

私は独力で対人恐怖症の克服に取り組んでいましたので、自分の背中を押してくれるカウンセラーや医者などはいませんでした。恐怖突入・エクスポージャーを行う時に自分を励ましてくれる人がいないという状況だったんですね。


恐怖が強くなった時の対応策をノートに書いておくとよい

そんな時は、あらかじめ「恐怖が強くなった時にやるべきこと」を決めて心に持っておくということが非常に役に立ちました。恐怖は予想していればある程度はこらえることができるのですが、予想していないとパニックになってしまい、逃げだしたくなるのです。

記事にも書いたようにあらかじめ「何」を決めておくことが恐怖突入・エクスポージャーを実践する際にはきわめて重要です。できればノートを用意して、書き出して、音読して、記憶するくらいで丁度いいと思います。対人恐怖症の実際の場面に入った際の荒れ狂う恐怖に対抗するにはこれらの準備をすることとても役に立ったように思います。是非試してみてください。


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