時の移ろいは早く、今年も師走となりましたね。

皆様には、ご健勝の事と存じお慶び申し上げます。

本日は「蔦之助だより Part32」をお送りさせて頂きます。


先月の『スーパー歌舞伎II ワンピース』は、チケットにプレミアが付くほどの大盛況のまま、

無事に千穐楽を迎える事が出来ました!

と、申しましても、来年3月には大阪公演、

4月には博多公演が控えておりますので、どうぞお楽しみに!!



そして今月は、一門総出で、京都南座の『吉例顔見世興行』に来ております!!

『顔見世』は、東西の役者が一堂に会し、100年以上も続く、伝統ある京の年中行事です。

そして、顔見世といえば!!

そう!劇場正面に飾られる、役者の名前が書かれた「まねき」が有名ですね!!



私も、名題となり初めて顔見世興行に出演致しますので、

人生初の「まねき」が飾られた訳でございます。




旦那、男女蔵さん、兄弟子の左升さんと御一緒に、

市川蔦之助の「まねき」を上げる事が出来ましたのも、皆々様のご後援の賜物でございます!

本当にありがとうございます!


注: 向かって右半分が上方の役者、左半分が江戸の役者です。



そんな記念すべき顔見世で、夜の部「輝虎配膳」の篠崎佐金太というお役を勤めております。



幕開きに登場しますので、ご覧になる方は、是非、探してみてくださいませ!





さてさて、今日は、口上の折の、市川家の正装についてお話しさせて頂きます。

歌舞伎界では、口上の折には、それぞれのお家の裃(かみしも)鬘(かつら)を身に付けます。

さあ!こちらは、四代目鴈治郎襲名口上へ出演する直前の、旦那でございます!



市川家の役者といえば、まず、この柿色(かきいろ)の裃です!!

決して茶色とは言いませんよ!

そして、この裃には、市川宗家の紋「三升(みます)」が入っています。

また、襦袢の襟も、浅葱(あさぎ)という水色っぽい色と決まっております。


それでは、次は、鬘(かつら)にご注目ください!!



このウルトラマンみたいな髷(まげ)を、「鉞(まさかり)」と言います。

そして、ここからが重要なのですが、この鉞の鬘は…

市川家の役者の中でも、実績があり、

大事な名跡を継いでいる数人しか被る事のできない大変価値のある物なのです!

もちろん、我々、門弟の身分では一生被る事ができない憧れの鬘でもあります!




これは、後頭部の部分です。

この部分は、「油付きの櫛目(くしめ)」と言います。

「櫛目」の特徴は、あえて毛の質感を残すという物です。

ですから、この旦那が被っていらっしゃる鬘の総称は「油付き櫛目の鉞」となります。

そして、櫛目に対して、「油付きの研ぎ出し(とぎだし)」という物がございます。

時代物の武士の役等に使われる「研ぎ出し」は、櫛目よりも更に硬い油を練り込み、

鏡のようになるまで、ツルツルピカピカになるまで磨き上げた物です。

歌舞伎をよくご覧になる方は、様々な役で、

この「研ぎ出し」の光る美しさを感じた事があるのではないでしょうか。

そしてそして!!!

市川家を象徴するこの「鉞」の髷から、後頭部の部分に至るまで、

ツルツルピカピカに磨き上げられた「研ぎ出し」の鬘があるのですが、

それはなんと!!

世界で只一人、市川宗家しか被る事が出来ない鬘なのです!!

市川宗家であった、十二代目 團十郎さんがお亡くなりになってからは、

海老蔵さんが、その型を受け継ぎ、「油付き研ぎ出しの鉞」を被っていらっしゃいます。

市川家の象徴というべき「鉞」!!

その価値は、歌舞伎界全体においても、本当に大事な物なのです。




それでは最後に!!!

何かと話題の歌舞伎フェイスパックに、なんと!!ワンピース歌舞伎版が加わりました!!!



隈取ルフィと、赤髪のシャンクスがセットになっています!

私も、早速、使ってみました!笑



ここでクイズです!!

向かって右のシャンクスが、私です。

では、左の隈取ルフィのパックを付けているのは、一体誰でしょうか!!??

(ヒント: いつもの方です…笑)





それでは、今回も長々お付き合い頂き、ありがとうございました!

これから、益々寒くなってまいります。

皆様も、どうぞお身体をご自愛ください。