今年最初の台風が過ぎ去り、いよいよ初夏の陽気が訪れましたね。

皆さま、ご無沙汰をしております。

本日は、「蔦之助だより part26」をお送りさせて頂きます!

今月は、皆さま既にご存知かと思いますが、

昼は明治座、夜は歌舞伎座の掛け持ちをしております。

お役は、明治座の昼の部「男の花道」に出演しています。

この作品は、実在した名優、三代目 加賀屋歌右衛門と、

蘭方医の土生玄碩(はぶ げんせき)の友情を描いた名作です。

猿之助さん、愛之助さん、中車さん、男女蔵さんを始め、

皆んなで、長谷川一夫先生の名作を熱演しております!

私は、物語の冒頭、芝居前の場で、木戸番 左助を勤めています。



この役名は、演出の石川耕士先生が、私の前名の左字郎と、

蔦之助を掛け合わせて名付けて下さいました。

そして、隣は、同じく、芝居前の場で、半兵衛というお役を演じている、澤村國矢さんです。

國矢さんは、澤村藤十郎さんの御門下で、入門当初より親しい、私より一歳年上の先輩です。

そして、私の役者人生において、とても重要な方なのです。

パートナーであり、ライバルであり、戦友でもあり…

これまでにも、

「棒しばり」

「二人椀久(ににん わんきゅう)」

「末広狩(すえひろがり)」

「三番叟(さんばそう)」

「戻駕(もどりかご)」

そして、「鏡獅子」の胡蝶などなど…

くにつたコンビで、様々な大役に挑戦してきました!

特に、二人とも踊りが好きなので、舞踊の演目が多かったようです。

これからも二人で、芝居、舞踊と、切磋琢磨して、

もっともっと様々な役に挑戦して行きたいと思っております!

この後も、くにつたコンビに、熱い御声援をどうぞよろしくお願い申し上げます!!



もちろん、國矢さんも「挑む」公演のメンバーですよ。




さて今日は、歌舞伎役者は、シャレで験(げん)を担ぐ!というお話しをさせて頂きます。

先ず、これをご覧下さい。



菜っ葉と、お揚げの、「菜揚げの味噌汁」です。

私の両親が修行をしておりました、十四世 守田勘彌さんのお宅では、

舞台初日の朝は必ず、この味噌汁が出たそうです。

菜揚げ…

そうです!

役者の名を上げる、「名上げの味噌汁」なんです!



続きましては、こちらです。



カツオのお刺身!

ではなく、その手前にある、ツマです。

皆さまご存知とは思いますが、ツマ=大根は、殺菌作用がある為、生物に添えられます。

そう、食当たりを起こさないように…

でも!我々は、役者として、当たらなくてはいけません!!

当たらない役者、つまり「大根役者」にならないよう、

あえて、大根を食べない方もいらっしゃるそうです。

因みに私は、おでんの、出汁がよく染みた大根が大好物ですが…苦笑



この他にも、厄(役)を落とすから、厄払いはしない!等、

様々なシャレが効いた口伝があります。

もちろん、全員の歌舞伎役者が、そのシャレの効いた験担ぎをやっている訳ではありませんが、

歌舞伎発祥から415年…芝居の技術と同時に、こういった事も、

現代の世まで伝わっているという事は、本当に素晴らしい事だと、私は思います。





それでは最後に!

準レギュラーさん(壱太郎さん)のコーナーです!!

加賀屋歌右衛門の弟子、加賀屋歌助さん(壱太郎さん)から、

役者の色気について、演技指導を受ける、左助と半兵衛です。



「もうちょっと、足を内股にね」




「もうちょっと、肩を落としてね」




「さあ、皆さまもご一緒に!」

因みに、壱太郎さんは、この撮影の間ずっと、お祖父様の山城屋さんのモノマネをしてました 笑




それでは今回も、長文を最後までお付き合い頂き、ありがとうございました!

また次回、お目にかかります。