皆様、こんばんは。

本日は「蔦之助だより」をお送りいたします。

まずは、桃太郎ちゃんへの、読者の皆様の大変温かいお心遣い、本当に嬉しく、

門弟の一人として、私からも、厚く厚く御礼申し上げます。

私も、桃太郎ちゃんには、一日も早く元気になってもらいたいと思っております。




さて、今月の歌舞伎座は、歌舞伎三大名作の一つ、

「菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅ てならいかがみ)」の、昼夜通し上演です。

これは、後に、太宰府天満宮の天神様へとなる、学問の神様、

菅原道真(すがわらの みちざね)の哀しい運命、そして、その運命に翻弄される者たちの物語です。

通し上演は、本当に久しぶりで、もちろん新しい歌舞伎座では初めてとなります。

私は、物語の発端、「加茂堤(かもづつみ)」で、仕丁 八作(じちょう やさく)、

「道明寺(どうみょうじ)」の場で、中間(ちゅうげん)を勤めております。



これから御覧になる方は、是非私を探してみて下さい!



さてさて、「菅原伝授手習鑑」といえば、夜の部の序幕、

「車引(くるまびき)」の場が、とても有名です。

この場の主人公は、三つ子の兄弟、

梅王丸(うめおうまる)

桜丸(さくらまる)と、

松王丸(まつおうまる)です。

三人が其々の隈取をし、ド派手な大荒事(おおあらごと)をみせる、大変迫力ある場面です。

それでは、その、其々の隈取をご紹介します。




これは、兄弟の中で、最も力強い、梅王丸の隈取「筋隈(すじぐま)」です。

他の演目では、「暫(しばらく)」の鎌倉権五郎にも使われます。

歌舞伎の隈取のなかで、一番、線の数が多く、最も有名で、

皆様も、商品のデザイン等で一度は目にした事が有るのではでしょうか。





次は、末弟の、桜丸の隈取「むきみ隈」です。

桜丸の優しい性格が、隈取にも現れていますね。

そして、何故「むきみ隈」かと言いますと、目の部分の形が、

貝の剥き身に似ている事から名付けられたそうです。

他の演目では、「助六」や「対面」等の曽我五郎(そがの ごろう)の隈取としても使われます。





最後は、二人の兄弟と対立する、松王丸の隈取「二本隈(にほんぐま)」です。

これは、見た目通り、二本の線が特徴である為、この名称です。

あご髭に、青黛(せいたい)の入れるのが、アクセントになっていてカッコいいですね!

この隈取は、松王丸以外で使われる事は、ほぼありません。



そして、これら、隈取の最大の特徴は、「ぼかし」です。



隈取の線は、片側はハッキリ描き、もう片側は、ぼかします。

今回ご紹介した物以外にも沢山ある、様々な隈取。

伝統に則り、線の数、描く箇所、色、そして、ぼかす側、全て決まっております。

今のこの形になるまで、何百年も掛けて、完成されてきたのでしょうね。

つたない絵で失礼しました。



世の中では、様々な商品のデザインにも使われている隈取。

残念ながら、ちゃんと正確に表現している物が多いとは言えません…。

あ!そうそう!隈取の商品といえば、最近話題の「歌舞伎フェイスパック」!



こちらは、染五郎さんが監修をなさっていて、とても正確にデザインされていますよ!

私も、買って、使ってみました!笑



さて、最後にクイズです!

私は、右側の筋隈の方ですが、

左側、青黛隈(せいたいぐま)の方は、いったいどなたでしょうか!!??

正解は、次回発表いたします!



それでは、今宵はこのあたりで失礼させて頂きます。

春まで、あともう少しですね。