甲村図書館の館長、佐伯さんが、壁に掛けてる一枚の絵
浜辺のデッキチェアーに座る12歳の少年。
動かないスフィンクスの形をした雲や遠くに見える島。
「この絵はとてもよく描けていると思う。ここには何か力強いものがある。
その人がこれを描くところを私はずっとそばで見ていたの。」
と佐伯さんはカフカ少年に海辺で絵について語るところ。
本の中の文章(描写)から絵を想像することは難しくて、たぶん写実な絵だと
思うけれども、抽象的な詩を佐伯さんが書いているので、ますます難しい。
6,7年前に一度この長編を人に借りて読んだ時は、たぶんわかってなかった
と思います、今回、蜷川演出で舞台化されたということをブログ「なんやろ」さん
が記事を書かれていたので、もう一回読むことにしました。
以前に読んだ時よりも、ますますわからない部分と、ものすごくわかった場面が
あり、やっぱり本は何回も読まないといけないなと思いました。
当時日記にこの海辺のカフカの詩を写していて、わからないなりにも、わかった
風に感想なんかを書いたと思います。
ワタシ自身がこの6,7年で大きく変わったとは思いませんが、その間に読んだ本
や、観た映画でモノの見方が変わっているのは確かです。
よくわかったと思っているところも実のところはワタシの目ですから「ああそうだった
んだ」なんて言ってはみても、十分誤解していることでしょう。
それでもいいんです。100人が100人違う読み方をするんですから。
そして今回もたくさんの登場人物の中、好きな人物は6年前と同じなんです。
最初の方で出てきたトラックの運転手のハタギさんです。ナカタさんがヒッチ
ハイクで四国へ渡る時に乗せた鮮魚の冷凍トラックの運転手です。
ナカタさんが「頭が悪いので」と言うと
「自分の意見をもつのと、頭がいい悪いはべつのことだよ」と教えます。
そして猫の言葉がわかると言うナカタさんに対して
「わかるよ。あんたならそれくらいのことやりかねない。
俺はちっとも驚かないよ。」
最後に
「だた、俺には俺の考え方があるだけだ。だからみんなによくうっとうしがら
れる。あいつはすぐにややこしいことを言い出すってさ。自分の頭でものを
考えようとすると、だいたい煙たがられるものんなんだ」
運転手のハタギさんにナカタさんとワタシはそれでいいんだよって褒めて
もらえた気がして、大好きな人になりました。
今回は、佐伯さんが20歳の時に書いた「海辺のカフカ」の詩ではなくて
ハタギさんの台詞をノートに写しました。
そして、絵は全く違うと思うのですが、この絵が
「海辺のカフカ」を想像させるのです。
しばらく押入れに入っていましたが、本を読んで思い出し引っ張り出して
飾っています。シーレです。エロスがかおります。
この本、やっぱりエロスを書いていると今回強く思いました。
テーマは究極なエロスです。愛です。
今日こそは6月1日更新しなくては、庭と島ばかりにかまけております。
でわ今夜はこの辺で。