今日はものすごい映画を見てしまいました。


としか言えません。ほんの1週間前まで知らなかった映画です。ブログのお陰です。


「ももじろう2号」と言う、映画、特に昭和初期の映画をご紹介なすっているブログを


書いていらっしゃるんですが、これもまたどこをどうくぐったのか、最近勉強させていた


だいているブログなんです。1963年、今村昌平、脚本、監督「にっぽん昆虫記」です。


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はい、これは映画のポスターではありません。他所から拝借してきました。

ポスターもカッコいいですが、この写真

   『THE INSECT WOMAN』


   『FILM BY SHOHEI IMAMURA』

これも、ちょっとカッコいかなと思いまして、ツレの仕事の助手を長年努めていましたから

ポスターやDM、パンフレット等のデザインに関してはちょっと生意気言わせていただきます。

それに、この写真を見れば内容はかなり性描写の激しい映画であると想像できると思います。

女は左幸子、男は北村一夫です。両方とも名優と言っていいでしょう。

「にっぽん昆虫記」なんて題名ですから、なんだか文部省推薦の子供向けな映画を想像して

しまいそうですが、まあ監督が今村昌平ですから、あの「飢餓海峡」の監督です。

じつわ、ワタシこの「飢餓海峡」は2度見ているんです。あの鈴木建設の社長の三国連太郎

と今回、主演の左幸子の共演作です。もう哀れな売春婦役でした、左幸子は、悪役の三国も

はまり役。いいえ、今日は「昆虫記」のほうの感想です。さっき冒頭から物凄い映画と言い

ましたが、その一言につきると思います。「インセクト・ウーマン」と書いてありますが

そのものずばり「昆虫女」と言うことです。昆虫と言うのはメスのほうがオスより断然強く

カマキリにいったては性交後にオスを食べてしまうという残酷かつパワフルな生き物です。

パワフルということは生きるということに真っ直ぐな、そのためにはオスを食っちゃても

いいし、騙しちゃってもいいし、利用したって、あーーそれが、情けないやら、悲しいや

ら、反対に、騙されり、利用されたり、でも、くじけない。

新興宗教に入って、愚行を皆の前で話して、救われたり、ありとあらゆる女のだらしなさ

愚かさと卑怯と無知と貧困とマイナーな具材てんこ盛りの一皿です。

だけど、こっち側で観賞している女として、全くいやらしくない、時には、笑ってしまったり

頷いたり、愛おしささえ感じてくるんです。それは左幸子自身が持っている燐とした上品さが

どんなに汚い役を演じても、意地汚く怒鳴ったり、だらしなく股をひろげてもチラッとそれが

かい間みえるところがあるんです。

清純だった18歳の貧農の父親のわからない娘から45歳ぐらいの売春宿のやり手ババアまで

当時33歳だった女優左幸子が演じています、はっきり言って「汚れ役」ではありますが、

女優になったからには、やってみたい、やりたい役だったのではないでしょうか?



もう、海の向こうのアカデミィー女優のシャーリーズ・セロンが「モンスター」で殺人鬼の

役をやるために13キロ太ったり、素っ裸でバックから犯されたり、それはそれで女優魂を

感じさせましたが、日本のあの当時の、まだまだ小津安二郎の上品で綺麗で性を除外した映画

がモテハヤサレテいた頃にやってくれました。

おっぱい丸出し、犯されるわ、犯されるわ、愛の全くないセックスにヒィヒィ悶えるシーン満載

でも、これが現実リアリズムというものです。昆虫の観察です。汗やら、精液の匂いがしてくる

ような、生生しくて、どろどろしていて、それでもやっぱり、左幸子自身がもっている強く握っ

た握り拳のような堅くてどうやったて開くことのできない潔癖さとか意地みたいなものがそれら

を邪魔するのではなくて、見るものに一寸した清涼感と言うか、安心感を与えるんです。



映画の内容はあえてここでは、感想文ですのでお話しません。

興味のある方は、ご覧になってください。でもざっとお話しますと、最初に貼ってある写真を

ご覧になってわかるように、貧農で生まれた女が、ありとあらゆる苦労をして、その合い間に

は色んな男性との遍歴が織り込まれるんですが、その時代が戦前、戦中、戦後のこれもまた

激動の中の事件も縦糸になっています。日本の近代化の歴史の流れの添っているのです。

うーん、凄い凄い映画でした。これどこを探してもないのでアマゾンで買ってしましました。



よく探せばあるやもしれません。もう早く見たい一心で永久保存版に指定です。

それも、これも「ももじろう2号」さんの映画解説の旨さでしょうか。

物凄い映画だったんですが、物凄い女優を改めて見た気をしました。

「切腹」の岩下志摩以来の感動でした。

左幸子、この映画は「飢餓海峡」より先に撮っています。当時33歳です。

今現代、33歳の女優は、菅野美保、篠原涼子、ちょっと上で松たか子、仲間由紀恵

ちょっと薄っぺらな感じがするのはワタシだけでしょうか?



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はい、これは川島雄三監督のいわずと知れた「幕末太陽伝」1957年ですから

左幸子まだ、若干27歳、隣はあの、「洋子待ってくれ」の南田洋子です。

この映画では,二人の女優の大喧嘩、怒鳴りあい、殴り合いが名場面です。

では、最後に美人ではないけど、知的な美しい左幸子さんの写真です。

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ちっこい写真になってしまいましたが、ちゃんと女性誌の表紙にもなっています。

もう一つ、しつこいですが、最後に、さっき紹介しました、「幕末太陽伝」の監督

川島雄三ですが、次回予告として、一番好きな映画「風船」の写真を貼っておきましょう。

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隣に移っているのは、日本のへプバーンこと、芦川いずみ、結婚して銀幕から姿を消しましたが

素敵、可憐、キュートと言う言葉がぴったりの女優でした。

この時の左幸子もいい役を演じていました。

長くなってしまいましたが、次回は川島雄三監督について熱く語らせていただこうと思います。

「花に嵐のたとえもあるさ、さよならだけが、人生さ」

では、今夜はこの辺で。


PS.すみません、さっきももじろうさんから、ご指摘がございまして、

「飢餓海峡」は今村昌平監督ではなくて、内田吐夢監督です。つい、次の年に左幸子が

出ている映画なもんで、同じ監督かと?しかしこっちの方もかなりの迫力です。

原作は水上勉です。ちょっとサスペンス調で、松本清張のようなストーリィー展開です。

こっちもいずれ、感想文を書きたいと思っています。