GOOD LUCK Mr. Press, but… | リアル米国発!”米国マネジメントTIPS”

GOOD LUCK Mr. Press, but…


北米トヨタ社長をされていたジム・プレス(トヨタ本体の専務)氏がクライスラー再建 (本心?それともPRIVATE EQUITYのSHORT TERMの戦略?)のためにスカートされてクライスラーの副会長兼社長に就任した。

プレス氏は1970年、フォードで2年の勤務のあと、米国トヨタ自動車販売に入社。以来37年間という長い間トヨタの米国での事業の拡大に貢献してきた。たまたま日本人社長の恥ずかしい失態で初の米国人のTOPとなったので、たまたまという言葉が通じるような偶然性もいとめない。

その後トヨタ本体の専務にもなったところを見ると、やはりトヨタにとっては外人であった人が重要ポストに抜擢されたので立派、立派とも言える。

この目出度い話を別の角度から見ると、クライスラー再建が出来るのはトヨタの日本人の偉い人であればなお良いのではとも考えられる。プレス氏が秀でていた販売でのEXPERTをスカートするのも一考だが、クライスラーも含めたビッグ3の問題点は販売力ではなく、むしろ車の性能、燃費性、安全性、それに車ひとつひとつに出ている標準化の優秀性と運転時の居心地の様な気がする。

消費者を小ばかにしたようなマーケティング戦略では悪い車は簡単には売れない。今だ排他的な日本の会社であそこまで上った人が、もう少し名前に価値がある会社で副会長兼社長をやりたいと思ったのかもしれないが、プレス氏の今後の動きは体得した日系企業、それも世界で名を派すトヨタ自動車の経営哲学をいかにクライスラーで応用してゆくか見守りたい。

時間を掛けて良い車を作る仕組みを作り、組織を組み替え、そしてSYSTEMを構築する。簡単ではない。一人では出来ないチャレンジのある経営の機会である。

その必要最低限の時間をもらえるか、それともTOPになる夢を達成し、トヨタ時代の何倍かの好条件に満足して人生の終わりを楽しむか。かれはどんな気持ちでいるだろうか。