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こんな奇跡があるのか?


ハローワークから紹介され、アコムの横浜店に、面接に伺った。

面接官は、この店の店長だった。

年齢は、当時40歳ぐらいの紳士だった。

志望動機を聞かれ、「退職後に気分を一新する為に、御社を選びました。この業界は、これから成長する企業だと思っています」と答えた。


面接が終わると、ペーパーテストである。これから、10分の休憩を挟んで、試験を始める。合格点は、80点以上と言われた。


面接官の店長が、応接室から退出されると、若い女性が珈琲のセットを持参された。

「一息どうぞ!」と言われた。


俺の緊張は、一気に吹き飛んだ。

珈琲の中に、角砂糖を二つ入れて、口を付けて飲むと、トイレに行きたくなった。


男性トイレに案内され、用を済ませていると、肩を叩かれた。


「久しぶりだな」卒業式以来だな!

振り返ると、そこには隣のクラスの友人が、スーツを着て、立っていた。


彼は、俺と同じくらいの成績であったが、専門学校へ進学をした。


それから約3年間、音信不通だった。工業高校を卒業して、金融機関のトイレでの再会。


二人で、応接室に戻り、話を始めた。彼は俺に、「この会社に入りたいの!」と聞いて来た。

「入りたい」と答える。


なら俺が、「店長にお願いしてやる」と言ってくれた。


俺は、不思議に思った。彼は、この横浜店の社員だったのだ。


彼の話では、履歴書が届いた時に、お前と同じ学校の方が、入社希望らしい。


この人を知っているか?と聞かれた。


「中々真面目な奴ですよ」と言ってくれたらしい。


彼は、「最後まで頑張れ」と言って仕事に戻って行った。


休憩が終わり、試験を終わらせた。内容は、結果はギリギリ合格が取れそうな感じだった。


そして、三日後に郵送にて、合格通知が届いた。


入社式は、1210日となっていた。


入社式当日に、スーツを着て、東京の日本橋にある本社へ向かった。

入社式は、10時からで、挨拶から始まり、人事部長の懇話で始まった。

会社の歴史を、ビデオで拝聴して

会社内容が理解出来た。

1130分になると、1階のレストランで、食事をご馳走される。


食事後に、会議室に戻ると、配属先がホワイトボードに貼ってあった。

俺の配属先は、関内店だった。


入社の手続きを説明され、その時に必要な提出書類を作成していると、各人の配属先の店長が迎えに来てくれていた。


この作業が終了した時点で、入社式は終了となった。


これから、関内店へ向かって、15時に、店内に到着。


店長は、教育担当の女性社員を紹介され、その後は彼女が対応してくれた。

彼女が、仕事の内容やロッカーなどを説明してくれた。

そして、営業の終了となる18時を迎える。

閉店準備を行なって、本日の業務が終了した。


すると、会議室にいる店長から一人づつ名前が呼ばれた。


今日は、この会社のボーナス支給日だった。入社したばかりの俺には、関係の無い事。

店長は、「お疲れさん!上っていいよ」と言ってくれないかな?と思っていた。


社歴の順番に呼ばれ、応接室から明細書を持って、笑顔で退出する。

俺は、羨ましいと、本気で思っている。


この受け渡しが始まってから、40分が経過して、最後に俺の名前が呼ばれた。


やっと!お疲れ様か?と思いながら、応接室に入った。


中の中心に店長が、座っていた。その前には、テーブルがあり、向側の責任に着席した。


店長は、「お疲れさま、初日は大変だったかな?」と労いの言葉をくれた。


次の瞬間に、スーツの内ポケットから、白い封筒を出し、テーブルの上に置いた。その宛先に、永野君へ!とあった。


その封筒を手に取り、中身を確認すると、「お疲れ様」とその封筒を、俺に差し出されたのだ。


俺は、受け取り中身を確認した。

すると、5千円冊が一枚入っていた。


店長は、少ないが、俺の気持ちだ!と言ってくれた。

このお金は、期待を込めたボーナスではないか?と理解した。


ありがとうございました😊と退出したが、喜びは最高潮に達した。

こんな展開を、全く予想して無かった。


店内に戻ると、先輩達が、俺の周り集まって来た。そして、「おめでとう㊗️


この展開は何?

入社の初日に、この感動は⁉️


俺は、この感動を伝えたいと思い、入社して、ボーナス対象とならない社員に対して、白い封筒に、名前を記載し、5千円を入れて、手渡す事にしている。

管理職となった時点から、課長の責務を受けていた期間、これを15年間続けた。

(˃̵ᴗ˂̵)