さて、今回は「別れの陸海空」の後に発表された空の別れ曲「虹の木」です。

 ニュー「空の別れ」とファンの間で呼ばれることもあるこの曲。虹の木とは、ハワイでよく見かける街路樹「レインボーシャワーツリー」の事です。白に薄いピンクの筋が入った花びらの美しい花です。

 ハワイアンではないのに、ハワイを彷彿とさせる前奏の後、

 「空港の長いテラスを 君の肩さえ抱けずに 途切れ途切れの言葉で時が行く 28番ゲート」

 ホノルル空港は大きな空港で、長いコンコースがありました。最近ダニエル・K・イノウエと名前が変わり、2019年にゲート番号も変わりましたので、もう、この28番ゲートは無くなってしまっています。この曲の発表は1984年です。

 彼女が彼に別れを告げ、ホノルル空港から旅立つのを見送る男。2728番あたりのゲートは日本行きが出発するゲートでありました。そうすると、彼女は日本人で、日本に帰ることになるのかな?と想像していました。

 遠くでレインボーシャワーツリーが風に吹かれ花びらを散らせているのが見えます。その色彩と風景が美しく描かれます。「逢わなければ」と言おうとした彼、「逢えたから」と返す彼女。二人の恋はどのような恋だったのでしょう?切ない会話。

 思い出を振り切るように足早に去る彼。その彼との思い出を抱きしめる健気な彼女。その別れの場面が胸を締め付けます。

 2コーラス目では、前の晩の二人の最後のデートが描かれます。

 二人の最後の食事は、ハワイの名レストラン「Michel’s」でした。海辺にある美しいレストランです。そこで、彼女は「さよなら」と伝えます。ピアノメロディーに乗せて歌うように・・・

 二人の恋。彼女は「氷がとけてゆく様に おだやかに疲れて」、「為す術もなく一輪の花が枯れてゆくのを見送った」彼。

 どうして、こんなに想い合っているのに、別れなければならないのだろう?男女の不思議さを感じます。そして、彼女はとても「良い女」であることも確かなのです。

 

 「昨夜 タンタロスの丘で見つめた ホノルルシティーライツ」という歌詞があります。ハワイに詳しい方は、ホノルルには、「Honolulu City Lights」というクリスマスイベントがあることを知っていて、そのお祭りを遠くから見たんだと解釈するかもしれません。しかし、クリスマスイベントの時にはレインボーシャワーツリーは盛期を過ぎています。しかも、「Honolulu City Lights」というイベントは、1985年のクリスマスからです。先にも書いたように、この曲の発表は1984年です。さださんの歌の方が、先に「ホノルルシティーライツ」という用語を使っているのです。すごいですね・・・・

だから、この場面は、「二人でタンタロスの丘に登って、ホノルルの夜景を見に行った」のです。タンタロスの丘は、ホノルルの街とダイヤモンドヘッドを一望できるとても眺めの良い所です。

 

 私は、ハワイに行くと、この曲が頭の中に流れっぱなしになります。笑