タンホイザー
@ 東京文化会館 大ホール(上野)
2024都民芸術フェスティバル 参加公演
フランス国立ラン歌劇場との提携公演
東京二期会オペラ劇場
オペラ全3幕
日本語字幕付原語(ドイツ語)上演
台本・作曲:リヒャルト・ワーグナー
(パリ版準拠[一部ドレスデン版を使用]にて上演)
《以下ネタバレあり。感想箇条書き》
【あらすじ】
中世の吟遊詩人で騎士のタンホイザー。
彼は禁断のヴェーヌスベルクという異世界で、女神ヴェーヌスと官能の日々を過ごしていた。
ある日急に思い立って、ヴェーヌスが止めるのも聞かず、タンホイザーは現世に戻ることにする。
友人のヴォルフラムたちはタンホイザーの帰還を喜ぶ。
ちょうどヴァルトブルク城で歌合戦が開催されるというので彼も参加することに。
友人たちは清純な愛を歌っているので、タンホイザーも様子を見ているが、徐々に高揚して官能の愛について語ってしまい、禁断のヴェーヌスベルクにいたことが明るみになり罪人扱いされてしまう。
恋人エリーザベトのとりなしで、タンホイザーはローマへ巡礼の旅に出ることになる。
教皇はタンホイザーを赦免してくれず、彼は自暴自棄になってローマから戻ってくる。
再びヴェーヌスのもとに帰ろうとするタンホイザーに、ヴォルフラムがエリーザベトの名を叫ぶ。
我に返ったタンホイザーの元にエリーザベトの亡骸が運ばれてくる。
彼女の自己犠牲によってタンホイザーの魂は救済される。
タンホイザーもエリーザベトの亡骸にすがって息絶える。
神を称える合唱で幕が降りる。
東京二期会公式サイトより
https://nikikai.jp/lineup/tannhauser2024/
◇
■冒頭のヴェーヌスベルクのシーンで、全裸に見えるようなタイツを身に纏った人たちが絡み合うようなダンスをしており、官能の世界がダイレクトに伝わってきてとても良かった。
■タンホイザー(オペラ中ではハインリヒ)は、ヴェーヌスに懇願してやっとのことで現世に戻って来られたのに、歌合戦でヴェーヌスベルクの名前を思いきり出してしまっていて、うっかりすぎる……!!と思ってしまった。
■タンホイザーの恋人・エリーザベトはとても心が清らかで、その純真さが痛々しくも感じられてしまった。
巡礼者が帰って来たときの、タンホイザーを必死に探す彼女の姿は健気で切なかった。
その上巡礼者たちの歌がとても美しくて、泣きそうになってしまった。
今回のオペラで一番好きだったシーンだ。
■命懸けでたどり着いたローマですら、お前は呪われている、救えないと言われたタンホイザー。
またヴェーヌスベルクに行きたい、と嘆く彼を咎める気持ちにはなれなかった。
苦しみから逃げ出したいという気持ちは、誰もが抱く気持ちだと思う。
■ラストの場面は、解釈が分かれそうなシーンだと思う。
メリバだなぁと思った。
例え救われたとしても、エリーザベトの命と引き換えに得る救いなんて、「良かった」とは思いたくない……と私は思ってしまう。
しかし降りてくるエリーザベトの手と、その手に向かって高みへと昇ってゆくタンホイザーのシーンはとても美しかった。
伸ばし合う手が触れる前に幕が降りる、という終わり方が大変良かった。
■タンホイザーの親友・ヴォルフラムは、エリーザベトに恋心を抱いているにも関わらず、最初から最後までタンホイザーとエリーザベトに寄り添っていて、とても切なくなった。
ずっとドイツ語のオペラを観てみたかったので、行けて良かったです。
聞き取ることはほとんどできませんでしたが、時折知っている単語が出てきて嬉しかったです。
(ヘルマン役の方のドイツ語が聞きやすかった)
3階席の端でしたが、全く見えないということもなくてほっとしました。
遠かったので、オペラグラスを持って行って正解でした。
舞台前のオーケストラも少し見えて嬉しかったです。
オペラは初めてでしたが、とても楽しい時間を過ごすことができました。